第9話

魔法界パーティ当日。

 烏丸は変わらず白鳥のドレス姿を褒めた。

 お祖母さんは配下の魔導師何人かをパーティ会場に配置し、守りを固めた。白鳥の周りにはおれ達3人とセバスチャン、オウル君が守りに付いた。お祖母さんも会場の何処かにいて警戒しているらしい。

 おれ達は白鳥を囲むように陣取った。

 白鳥はイギリスに来ても美人で目立っていた。何人か話しかけようとする者はいたが、烏丸がガードしまくる。

 ワルツかどうかは分からないが、音楽が流れ、ダンスの時間になった。

「踊りましょう」

「おれダンスとか出来ねえし」

「いいじゃない。適当にフラフラしてればいいのよ」

「いいのか、そんなんで」

 お前といると、注目の的なんだよ。

「いいのよ、好きに踊りなさい」

「お、おう」

「しっかり腰に手を回しなさい」

「え、ちょ」

 白鳥が無理やり、おれの手を引き寄せる。

 後は本当に音楽に合わせて、適当にフラフラしたり、たまに白鳥が回ったりした。

 おれはずっとドキドキしっぱなしだった。


「白鳥さん、危ない!」

 

 突然、烏丸の声がして、おれはハッと我に返る。

 おれは今、白鳥の護衛中じゃなかったか。


 気付いた時には烏丸の腹が血に染まっていた。

「烏丸!」

 いつの間にかセバスチャンがナイフを持った奴を取り押さえていた。



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