第22話 決断

 二人はその後、数曲歌ってカラオケを離れた。

 絶冬華も大してうまくはなかったが、丈晴は輪をかけて下手だったので随分絶冬華に馬鹿にされた。

 帰路の電車に揺られながら、丈晴は考えた。


 どうすれば、絶冬華の願いが叶えられるのか。

 それには、どうすれば自分のフラスコ能力が絶冬華に通じるか知る必要がある。それを知るには、その能力のことをさらに知ることが必要だ。


『七瓶』なら知っているだろうか。

 人工的に生み出された才能のある七人の『フラスコ』。あるいは『七瓶』を生み出した科学者たちにたどり着くのだ。

 絶冬華の願いを、あるいは彩の願いを叶えるにはそれが必要に違いない。


 だとすれば。

 丈晴はいままで自分の存在を隠そうと目立たない振る舞いを行おうと考えていた。

 しかし、逆だ。

 少なくとも自分が『フラスコ』だと言うことに気付かれれば、『七瓶』は接触してくるに違いない。

 もっとも『七瓶』だと勘違いされたら会わずに殺されるかもしれないが。そうなってしまえば、誰の願いも叶わない。

 人の少ない電車に揺られながら、丈晴は頭を悩ませた。

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