最初の改稿

 平穏と享楽が調和したカイの故郷を、帝国の軍勢が襲った。

 村は瞬く間に炎と人の血で染まり、多くの叫び声があちこちで上がり、途中で切れた。


「カイ、お前は死んではならん……! お前こそが我々の希望なのだ!」


 村の長は、泣き喚くカイを馬の背に乗せ、激しく鞭を打った。

 いななきとともに、カイを乗せた馬はどこへともなく走り出す。

 その行く手を帝国の兵士が追うが、村人が決死の妨害をする。

 カイは馬の首に必死でつかまりながら、友の名を、育ててくれた村長の名を、ただひたすら叫ぶしかできなかった。

 どれほどの時間が経ったのだろう。

 あたりはすっかり暗くなっている。

 山林の中で、馬は疲れのためか走るのをやめた。

 カイは無事、逃げおおせたのだ。

 逃げる途中、どこからともなく親切な旅人が現れ、カイに路銀や食べ物を恵んでくれた。

 それを食べて、満腹を覚えたカイは馬上で適宜、休息や睡眠をとった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る