この建物は、ひどく歪なところだ。まるで迷路のように、不規則に壁が並んでいる。人のいる気配はない。


黄色い壁、黄色い天井、雑音を放つ蛍光灯……。


いったい全体、なんてバカみたいに大きな施設なんだ! せめて、非常口の場所くらいは、分かりやすくしておくものだろう。


こんなところに居続けたら、まるで感覚が、麻痺してしまいそうだ。


腕時計は、文字盤が割れていて使いものにならない。今となっては、ありがたいことだ。何時間歩いたとか、そういったことで絶望しなくて済む。


そうして、あてもなく彷徨う。


出口はどこだ?

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