破壊の始まり編

第5話 この光景まるでデモみたいだな、いや本当にデモか。

 俺らの耳にフスの訃報が入ったのは、日本とは違い程よく暑い真夏の日だった。

「やっぱり・・・。」

「先生はコンスタンツで最後『真実は勝つ』と手紙を書かれたそうだ。」

「・・・。」

 俺とオブは沈黙してしまった。

「おーい、二人とも。」

「ボジボイ、どうした?」

「フス派の議員が追放された!」

「は!?」

「それだけじゃない。教会の説教者も、カトリック信者に変えられた。」

「おいおい・・・。」

「この仕業はどう考えてもローマだな。」

 俺は怒りを覚えながら家に帰っていた。しかし家の扉を開けると父に姿は見えなかった。

「あれ、親父は?」

「ヨゼフよく聞いて。」

 お袋は焦っているようで俺の肩を掴んで言った。

「パパのお弟子さんがフス先生の死で猛抗議したら捕まったの。それでパパはその人を助けに行ったの。」

「え?」

「他にも6人同じところに捕まっているらしいの。」

「場所は?」

「プラハ市庁舎。」

「・・・、俺らも行こう。」

「・・・、ヨゼフならそう言うと思ってた。」

 俺はポザーを握って走り出した。お袋も一緒に市庁舎へ向かった。

 市庁舎の前には多くの人が押しかけていた。

「お、ボジボイ。」

「さっきぶりだな。」

「お前も来ていたのか。」

「もちろんさ。次第にボブも来るだろう。」

 その言葉の後、後ろからカツカツと鉄のブーツの音がした。振り返るとそこにはジシュカさんがいた。

「ジシュカさん!」

「よっ、鍛冶屋の小僧。お前も来たのか。」

「はい。」

「その剣は?」

「僕の愛剣です。」

「そうか、お前はなんでココに?」

「父の弟子が捕まったからです。」

「そうか。」

 ジシュカさんはそう言ってある男を見た。

「・・・、あの人は?」

「ヤン・ポネツキーだ。今のフス派のリーダーの説教者だ。」

 ヤン・ポネツキーは市庁舎の前に集まった人々に声を上げた。 「今日、ここに来てくれた兄弟よ。この市庁舎には我が兄弟7名が幽閉されている。私たちの兄弟という理由だけで。この市庁舎には腐ったローマ信者の議員が立てこもっている。ココに集ってくれた者の大体は兵士ではない。特段戦いに強い人はいないのかもしれない。しかし、我らの兄弟を救うために力を振るおうではないか!我らには真実が味方している!」

 ポネツキーの演説が終わると民衆は雄叫びを上げて、市庁舎の扉に突撃をした。



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