第3話 黒フードは怪しいやつっていう相場なんです

 家に帰るとお袋は、家に貯っていた免罪符を燃えている釜戸に投げ込んだ。

「お袋、何してんだ?」

「決まってるじゃないの。こんな怪しい御札もういらないわよ。」

「ふーん。」

お袋は決意した目で炎を見ていた。

 熱がこもった職場に、俺は初めて明るい気持ちで向かっていた。というのも今日初めて自分で剣を鍛錬することになった。

「ヨゼフ。覚悟はできているか?」

「はい。おやz・・・師匠。」

「まず、この鉄を・・・・・。」

 その後鉄を打ったり、形を変えたり、まあ他に色々して自分の剣を作り上げた。

「まあ、初めてにしては上出来だな。」

親父は髭をこすりながら感嘆の声を漏らした。

「その剣はお前が持っとけ。」

「いいのですか?」

職場では親でも敬語を使わなければいけないと親父に仕込まれた。

「ああ、素人の剣なぞ誰も欲しがらないだろうし、初めて作った作品はやっぱり思い入れが違う。」

「ありがとうございます。」

俺は初めて作った剣の刃を見つめていた。

「ポザー(注: požár 、炎)・・・。」

「なんだいきなり?」

「この剣の名前。」

「ふーん、名前つけるほどの剣でもないけどな。」

俺はポザーを鞘に入れた。


 私は、フスの説教を聞きながらメモをしていた。礼拝堂の奥にはボヘミア国王后もいる。フスの話は明らかに教皇を貶している。しかもさらに、大学や議会ではドイツ人を追い出す流れがあるそうだ。

「こんな弱小な国が・・・。」

私は筆を止めて、異端者の顔を睨んだ。

「おっさん。」

いつのまにか、体つきがいい青年に話しかけられていた。

「・・・、なんだ?」

「そんな格好していたら暑いでしょう?そんな暑そうなコート脱いだほうがいいのではないでしょうか?」

「・・・。」

 私はまあまあの有名人。顔を見られると正体がバレてしまう。そうなればここにいる人達に殺される。

「いやー、実は私寒がりでね。」

「ふーん。」

私が異端者の方向を見ると、青年はいなくなっていた。

「kurva」


 俺はオブのところへ向かっていた。あの訛り方、チェコ人じゃない。あの訛り方はハンガリー人だ。最後、あいつが言った言葉、クルヴァ。英語で言うところのF◯CK。これはチェコ語だが、ハンガリー語でも同じ言い方。あの発音はハンガリーのものだ。あいつ、何者だ?

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