225. 下ネタ
「きゃあああああああッ!!」
え、なになになになになに?
突然夜のお城に響く悲鳴、事件性あり!これは事件性ありだって! もう寝る時間だけどちょっと見てこよ。
鳥籠メイドさんをすり抜けて悲鳴が聞こえた方へ飛んでいくと、お城のホールのドラゴン前でお酒マンに縋り付いて座り込んでるオバサンが居た。そして、私の他にも悲鳴を聞きつけて人が集まってくる。
あー、恒例のアレか。初めてお城に来た人とか久々に来た人がドラゴンの剥製に驚くっていう最近の様式美だ。そう言えば西に行ってるおじゃーさんもこのドラゴンはまだ知らないんだっけ。おじゃーさんもビックリするかな? 鳴き声出るようにすれば確実に驚いてくれそうだね。
ってか、お酒マン! そのオバサン誰よ? 浮気? 浮気なの? 事務員
そのオバサン、普通の町の人の恰好してるけど私は騙せないよ? その隠しきれない高貴オーラ、絶対貴族か王族でしょ。私はよく街に行くからね、分かるんだ。この世界の本当に普通の町の女の人はもっとこう、なんて言うか、違うんだ。うん。
でもま、他人の色恋に口は出さない方が良いか。当人同士のプライベートな問題だからね。
「アナタXX精霊様のXXXXXなのですか? 宜しくXXXXXXXXX」
「あ……、いや……」
ドラゴンショックから復活したオバサンが微笑みながら何か言ってきた。それに対してお酒マンも何か言いたそうにしてる。
あれ、おかしいな。初対面の人はだいたい私を見ると驚くんだけど。だってこの世界でも妖精はめちゃくちゃ珍しいファンタジー生物って扱いのハズなんだよ。このオバサンは妖精が珍しくない場所から来たのかな。つまり私以外にも妖精がいるのか。
いや、精霊様とか言ってたっけ? 私が精霊と勘違いされてる? んで、この人は精霊が珍しくない場所からやってきたんだね。
それで、たぶんさっきのは挨拶されたんだろう。とりあえず頷いとくか。いや、ここで頷くと私が精霊だと肯定することになっちゃう? むむむ……、悩むぅ。
「お母様ッ!?」
悩んでると聖女さんが駆け寄ってきた。え、お母様だって?
あ、あー! そう言えば似てる! このオバサンは聖女さんのお母さんだったのか!
なるほどなるほど、そういうことか。どうしてお城の人に渡した転移の魔道具をお酒マンが持ってたのか不思議だったんだよね。聖女さんのお母さんを連れてくるようにお城の人がお酒マンに依頼したんだ。
ってことは、お酒マンは
色々スッキリしたし、もう眠いし、今日はもう寝よう。どうやら
翌日、昼前に
それにしても
んで、会食中の会話なんだけど、なんか和気あいあいって感じじゃなさそうだ。なんかピリピリした雰囲気がする。もしかして聖女さんが王族と結婚しようとしてるから、その親である
あ!
お魚パイの味が変わってる!
甘くないし、生臭くない! あー、これは美味しいかも。お菓子枠じゃなくて惣菜枠に方針転換したんだね。魚もなんか違う種類になってる? よくわからないけどやるじゃん!
「XXXXX金玉XXXXXXXXXX」
え? まってまってまってまって?
金玉って言った? 今
ってオイ勇者君、あからさまにニヤニヤするな! ああそうだね、君は好きそうだよね、下ネタ。
微妙な空気の中、ドアップ様が執事さんに何か指示を出した。しばらくして運び込まれてくる大きな玉……。あー、見覚えあるかも。あれだ、外で大きなボウリングモドキをやってたときに使った直径1m大の玉だ。間違っても金玉じゃない。
「うほぁ!?」
――ガタッ
「金玉ッ!? なんて大きさなのッ!?」
だから違うって! 大きすぎるでしょ! 直径1mだよ!? 信楽焼タヌキもびっくりだって!
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