198. げぇ!
聖女さんは良い人でした、間違いない。なぜなら私がボードゲームで勝てたからです、まる。いやー、楽しかった。3日続けて遊んであげたよ。
見習いメイドちゃんに負け続けまくってからというもの、誰か勝てる相手が欲しかったんだよね。玉当てとかもやってみたけど、1人遊びだとやっぱり飽きが早いのだ。
鳥籠メイドさんはダメ、勝てる気が全くしない。
銀髪ちゃんならワンチャン勝てそうかなとも思ったんだけど秋はずっといなかったし、冬の初めに帰ってきたと思ったらまたすぐ何処かへ行ってしまった。今日帰ってきてたけど、なんだかまだまだ忙しそうだったからゲームに誘うのはやめておいたよ。
勇者くんはずっといるけど、勇者くんはゲーム中にもちょっかいを掛けてきそうだからダメだ。楽しく遊べる気が全然しない。
そんなときに現れた期待の新星、聖女さん。なんと言ってもその弱腰な雰囲気で、これはもう勝ったなと確信したよね。そして案の定勝ちました。ぶい!
それに聖女さんは金髪兄さんとも相性が良さそうだ。もう夜更けだと言うのに、さっきまで聖女さんと金髪兄さんが仲良くおしゃべりしていたのも確認している。付き合いたての中学生カップルみたいに初々しかったよ。
でも話してる内容はなんだか物騒な感じだった。ちゃんと聞き取れなかったけど、神のケモノだか神の魔物だかに乗りたいとかなんとか。
私もだいぶ言葉を覚えたと思うんだけど、聖女さんの発音はなんか独特なんだよね。他の人よりも聞き取りにくい。たぶんドラゴンに乗りたいって言ってたんだと思うんだけど、危なそうだからやめておいた方が良いと思うよ。
あとは魔女とか勇者とか。勇者は勇者くんのことかな? それとも他に本物の勇者がいるんだろうか。勇者が魔女討伐? 全然分からん。
それに銀髪ちゃんが自爆して何かを焼き尽くしたとかも言ってた。ホントだったらヤバいし、こわい。あの可憐な見た目で何を焼き尽くしてきたと言うんだ……。
ちょっと前までなら、そんなバカなと聞き間違いを疑ったんだけど、今日のお昼にドラゴンをぶっぱしてたのを見ちゃったからなぁ……。ホントのような気がする。
ってか、銀髪ちゃんて魔法使えたんだね。リアル魔法少女じゃん。
話していた内容は物騒だったけど、とりあえず聖女さんは良い人で金髪兄さんともお似合いだと分かって安心した。
これで聖女っぽいエピソードがあれば申し分なかったんだけど、それは春まで待ってみよう。春になれば鳥や小動物もいっぱい出てくるハズ。
もしかすると何もしなくても鳥や小動物が聖女さんに寄ってきて、キャッキャウフフの聖女ワールドが展開されるかもしれないもんね。
翌日も聖女さんとボードゲームをしようと思ったんだけど、今日はなんだかみんな忙しそう。雰囲気から予想して、聖女さんが
と言うことで、暇になった私は久しぶりに宝物庫へ行ってみることにした。たまに行くと置いてあるものが変わってたりして面白いんだよね。勉強会? なにそれ美味しいの?
もう何度も行っている宝物庫、位置は完璧に覚えている。わざわざ廊下から入口なんか目指さなくても、床をすり抜けて直接宝物庫の天井から侵入できるってもんよ。
って、うわー! めっちゃ物ある! 宝の山だ! まさに宝物庫! いったい何時からここは宝物庫になったと言うの!? この金銀財宝、お風呂に溜めて財宝風呂とかやってみたい。
お、私人形も相変わらず宝物庫に置いてあるのね。……あれ? なんか前よりボロボロになってない? ああそうか、前に私が宝物庫から持ち出して下水に放ったんだった。律儀に回収してきたんだ……。もっかい下水に放ったら怒られるかな。やる理由もないしやめとくか。
む、これはチェケラ号! お城に刺さってたのに翌日には無くなってたから、どこに行ったのかと思ってたんだよ。自分用のオモチャとして港町で買ってきただけなのに、宝物庫に入るなんておまえも出世したなぁ。近くにはドラゴン戦で使われてた赤い宝剣と盾もあるね。
あ、これは! ふにゃ剣だ! 5本とも揃ってる!
……なんでここに? 子どもたちにチャンバラごっこ用として渡したハズなんだけど。
もしかして、ちょっと豪華に作り過ぎたから偉い人に回収されちゃったのかな。確かにこの国の文化レベルで街の子どもたちが持つにしては高価っぽかったのかもしれない。
ちょっと可哀そうだけど、どうせ今は冬でチャンバラもできないだろうから
しばらく宝物庫を見て回った後、満足したから宝物庫を出た。次は街に出てみようと思ったんだけど、なんか王族のみんなと聖女さんがお茶会を始めようとしていたので、お菓子目当てに参加することにした。
もう半年以上お城にいるけど、王族が揃ってお茶会するなんて初めて見るよ。これはさぞ豪華なお菓子が出ること間違いなしだね。
さーて、どんな豪華なお菓子かな? 私が採点してあげようじゃないか。
げぇ! これは、お魚パイ!
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