185. 改造
調査の案内頑張った。もっと褒めていいよ。
ドラゴン召喚場所まで魔法使いの人やお酒マンを案内したのだ。気になってた魔法陣の周りの石も回収してもらったし、これで私のお役目は終わりだろう。
魔法陣の周りを練り歩いてた怪しい人たちが何処に行ったのかとかは、私には分からない。たぶん逃げたんだろうけど、逃げたのならなぜ石を放置して行ったのかちょっと不思議だ。私ならドラゴンを召喚してしまえる石なんて絶対放っておかない。回収して再利用するってもんよ。
置いてったってことは、再利用できない使い捨てだったか、急いで逃げるため回収できなかったか、回収できない理由が他にあったか……。
それもお城の人が調べてくれるんだろう。事件調査に素人が出しゃばってもあまりよろしくない。気になるけど後は任せようっと。
街でお酒マンと別れてお城まで帰ってきた。お城の中で魔法使いの人や兵士の人とも別れた。もう夜だ。最近だんだん夜が早くなってきているね。
あの魔法使いの人、声でかかったなぁ。おじゃーさんも魔法使うときすごいでかい声出すし、きっと魔法使いは声の大きさが重要なんだろう。もしかしたら声がでかければでかいほど魔法の威力が上がったりするのかもしれない。
あれ? でも鳥籠メイドさんが魔法ぶっぱなしてたときは特に叫んでなかったな。うーん、まだまだこの世界には謎がいっぱいだ。
って、おわーっ! ホールにドラゴン立ってる! あの時のドラゴンか、すご!
うーん、近くで改めて見るとやっぱりでかいなぁ。このホールの天井はかなり高いんだけど、それでも頭が天井ギリギリだ。だけどなんだろ、なんかパッとしない気がする……。
……そうか、棒立ちだからイマイチ迫力がないのかも。なんか昭和の怪獣映画みたいな着グルミ感がそこはかとなく醸し出されている。目もなんか変だ。ちょっとかわいくなってしまって残念感がすごい。なんかこう、もっとギラッと睨んでる方が良いよね。目玉も瞳孔が丸いより細い方が好みだよ。うーん、もったいない。
夜、みんなが寝静まった頃、ちょっとドラゴンを改造することにした。このままだともったいな過ぎてずっとモヤモヤを感じたままになっちゃうよ。
えーと、まずは足を広げて……。む、剥製の中に芯が入ってるのか。ちょっと芯から改造しよう。んで、前傾姿勢。ホールに入ってきた人を襲う感じで、クチも開けて……。なんだこれ? クチの中無いじゃん。しょうがないなぁ、私が作ってあげようじゃないか。舌とか覚えてないけど、こんな感じだったでしょ。
それから、前傾姿勢にしたからバランスを取るため尻尾を後ろに上げて……。翼も広げたい。バサァってなってる方が絶対かっこいいし。目も作り直しだ。瞳孔は絶対細い方がかっこいい。睨んでるようにして、どうせなら光らせよ。
よしよし、これでどうかな……。うーん? なんかまだイマイチだなぁ。筋肉か? 筋肉モリモリに見えるように凹凸を付けよう。それにこのドラゴン、飛んでたときは薄っすら赤く光ってたよね。ついでに体も薄っすら光らせるか。
そうだ、良いこと思いついた。喉の奥を黄色く光らせよう。まさに今炎を吐こうとしていますって感じを演出するのだ。よしよし、かなり良くなった。めちゃくちゃ迫力ある。観光名所にこれがあったら絶対お立ち寄りポイントになるでしょ。
満足して部屋に戻ろうとして気付く。そう言えば最近、廊下とかにモノが多くなったなぁ。壺とか高級そうな調度品がところどころに置かれている。前は機能美を求めていたのかあまり飾りらしい飾りは無かったのに、内装の路線変更なのかな。
そう言えばボウリングモドキのレールとか作ってたとき、鳥籠メイドさんが何か言ってたなぁ。モノ、作る、とかなんとか。なるほどなるほど、お城の内装を変更するからモノを作って欲しいとかそういうことだったのか。
でも調度品のセンスなんて自信がないよ。パッと見、もう完成された美しさがあるような気がする。ここに下手に私が作ったモノを足しても調和が崩れること間違いなしだ。となれば、私にできることは見た目じゃなくて機能美か。
夜のお城は魔道具で薄っすら照らされてるんだけど、前々から暗過ぎると思ってたんだよね。私は飛んでるから良いけど、普通に歩いてたら気を付けないと転んでしまいそうな暗さだ。まずはこの照明の明るさをアップ。
んで、これから冬になってどんどん寒くなってくると思う。そうなったら欲しいのは暖房だ。この照明を改造して暖かい風を出すようにしよう。エアコンだ。お城は広いから量が多くてちょっと大変だけど、鳥籠メイドさんの期待に応えるためにも頑張っちゃうよ。
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