121. 緊急サブマス会議
「第1回、緊急サブマス会議~! わ~、パチパチパチパチ♪」
冒険者ギルドの会議室の1室で、私は緊急会議の開始を宣言する。私も偉くなったもんだよね。
「……どうして私達だけなのですか?」
「それはですねぇ、ギルマスは交替後の挨拶周りという名目で、周辺の主要なギルド支部へカチコミに行ってるからですよ」
新ギルマスは今、王都近くの街4箇所を順に回ってるんだよね。ちょっと前に地方ギルドから出た妖精様捕縛依頼に相当怒ったみたいなんだ。怖ぁ……。
ギルマスて優しそうな見た目で意外と過激だったりするんだけど、最近はギルマスが過激なことをする度に何故か私が恐れられるんだ……。優しいギルマスに恐怖の
「ギルマスが居られないことを尋ねているのではないのです。どうして他職員を呼ばずに私達2人だけなのですか?」
「それはですねぇ、先輩が信用できるからです。今は機密が多くてですねぇ、色々話せないんですよぉ」
「サラで結構ですよ、サブマス。それで、議題は?」
先輩が目を細めて見つめてくる。んー、未だにギルマス以外の上下関係が全部入れ替わったのに慣れないよ。って、話を進めないとね。
「えーとぉ……、じゃぁサラさん。議題はズバリ、地下に潜む謎の怪物に関してです! あとついでに、最近子どもたちが振り回してるっていう何か凄そうな剣のことですね」
本当は帝国の国境越えとか西の変な動きも相談したいんだけど、機密だからねぇ。
「それは、先程2回聞こえた咆哮のような音の件ですか?」
「そうですそうです、それです。ドキッ、王都に響く地獄の咆哮! 地下に潜む謎の怪物を追え!」
「真剣に話を進めてください」
「え……、真剣ですけど?」
「……先ほど聞こえた音に関して、緊急調査依頼を出すという認識で
何故か呆れた顔をされたけど、まぁ良いか。やっぱり先輩は話が早い。
「そうです。任せちゃって良いですか? 音の発生源の確認が達成条件、分からない場合は該当しそうな生物の存在確認でもオーケー、達成点数を下げて脅威の痕跡の発見です。まずは少人数でいきましょう。念のため、依頼先はパレード参加した冒険者にしてください」
パレード参加者なら妖精様地図チェックが入ってるからね。
「承知しました」
「何も分からない場合は人海戦術で地下全体を調査しなければならないかもしれないですけどぉ、スタンピード防衛で王城からお金もらってますからね。南に行った皆さんの報酬を差し引いても、まだ1回くらい依頼主無しのギルド持ち大規模依頼を出す余裕はありますよ」
帝国の脅威が迫っている中、他に詳細不明の脅威は放置しときたくない。多少お金使っちゃってもこれは解決しときたいよ。ダスターさんが上手くやってくれればトロールのお金も入ってくるし、資金は大丈夫でしょ。他にも金策できそうだしね。
「では依頼手続きを
「そうそう、サラさんは何か知ってます? 何か光ってて振るとブォン!って音が鳴る凄い剣を子どもたちが振り回してるってウワサ。最近、私はずーっとギルドに籠りっきりなんで見たことないんですよね」
「お疲れ様です。私も見たことはないですね。それも調査依頼を出しますか?」
んー、どうしよっかなぁ。ザンテンさんの件があるからなぁ。妖精様の調査依頼を信用できる冒険者に依頼したと思ったら、まさかの帝国内通者だったっていうね。
何か凄そうな剣って、聞けば聞くほど妖精様絡みだと思うんだ。王城から妖精様関連の情報は帝国に流すなって言われてる。今は外から冒険者がいっぱい集まってるし、帝国内通者も再侵入してる可能性は高い。っていうか絶対居るよね。
だから下手に依頼を出したらまた帝国内通者でしたってオチが見えるんだよ。妖精様地図チェックもイマイチ赤青判定条件が分かってないらしいし、万が一があるかもしれない。
うん、やっぱ依頼はなしだね。でも子どもたちは心配だ。それこそ凄い剣の強奪目的で誰かに襲われる可能性もある。
「あー、そっちの依頼はなしで良いです」
「承知しました」
あー、1人で王城行くの
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