107. 見物
主役がお酒マンということは、パレードが終わった今私はもう用済みのハズだ。
今日がお祭り本番日みたいなので、街はいつも以上に賑やかなハズ。だから街にも行きたいんだけど、お酒マンの謁見にもちょっと興味があるんだよね。
謁見自体は前に自分がやったけど、あれはなんかよく分からないうちに分からないまますぐ終わったからなぁ。でも今回の謁見は、お酒マンの功績に対して王様が褒美を取らせると思うんだよね。お酒マンが何もらうのか気になる気になる。
無難に考えると勲章とかかなぁ。個人的には勇者の
というわけで、私は謁見の
虫とか結構いるしクモの巣みたいなのも張ってあるけど、忌避感は特にないんだよねぇ。小さくなって虫とかめっちゃでかく見えるんだけど、不思議と怖くないというか……。これも妖精効果なんだろうか。
虫的には妖精は森の仲間みたいなもんだろうし、妖精的にも虫は仲間判定なのかもしれない。なんかここまででかいと虫とは別物な感じもするしね。虫って意外に毛深いんだなぁ。
しばらく虫とたわむれていると、謁見の
さらに待っていると、ファンファーレが鳴って謁見の間の大きな扉が開いた。レッドカーペットを騎士団っぽい人たちが進んでくる。その後ろに、お酒マンや筋肉オバケたち冒険者グループが続いている。冒険者グループはみんな貴族みたいな恰好に着替えてるけど、筋肉オバケ似合わなすぎて笑いそう。
ちなみに私はちゃんとドレスは脱いで部屋に置いてきたよ。今着てるのは初期装備のワンピースだ。防御力で言えば5くらいしかなさそう。
曲が変わって、玉座横のおじさんが何か大きな声を出した。たぶん「王様のおな~り~」的な掛け声。そして今日もロイヤルなストレートのフラッシュがきまってる王様と、クール女王様なドアップ様、最近見なかった金髪兄さんに、さっきまで一緒にいた銀髪ちゃんがやってきた。このお城の王族ってこれで全部なんかなぁ。
王様とドアップ様が玉座に座る。両脇に金髪兄さんと銀髪ちゃんが立って……、やべ、目が合った。見つかっちゃったわ。でもまぁ、別に見てても怒られないでしょ。銀髪ちゃんは相変わらず私を見つけるのが早いなぁ。ドアップ様にも見つかってるっぽい。
そうして始まった謁見は、王様がなんやかんやしゃべったり、他のおじさんがなんやかんやしゃべったりしてる。ヤバい、寝そう。中世ファンタジーっぽいイベントだからもっと楽しめると思ったんだけど、気分は学校の全校集会だよ。校長先生の話が……
ハッ!? 寝てた。
えーと……。お、ちょうどお酒マンが何か受け取るっぽい。って、あれ私が作った剣か? 鍔の宝石が赤じゃなくて茶色だから、オリジナルじゃなくて私が複製したヤツだね。宝物庫に無いと思ったらこんなところに……。
あれは見栄え重視で作ったから、実戦には何の役にも立たないと思うんだけどなぁ。飾りにしかならないと思うんだけど、褒美として与える剣としてはそれで良いのか。儀礼剣ってヤツだね。
なんか王様、茶剣をめっちゃビビりながら渡してる……。別にポンポン扱ったところで首がポンポン飛ぶわけでもないのに、ビビりすぎでしょぉ。普段刃物とか触らないから剣とか怖いんかな。
さて、そろそろ謁見も終わりっぽいね。どんくらい寝てたんだろ……。冒険者たちが出ていって、続いて騎士団っぽい人たちも出ていった。見物人の貴族も別出口から出て行く。よし、私も街に行くかー!
!?
銀髪ちゃんが何かを叫んで兵士がいっぱいこっちに来た!? やべ、これは怒られるフラグ! だけどお祭り本番は今日しかない! 説教で今日という日を消費するわけにはいかないんだよぉ!
街に来たら、すでに万全の体制で兵士たちが待ち構えていた! 街の人たちが兵士と私の追いかけっこを見て歓声を上げている。横目で見ると、どうもこのおいかけっこに対して賭け事をしている?
なんだこれ!?
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