036. 教会
冒険者ギルドを出た私は、大きな尖がり屋根のある建物までやってきた。
T字の上に半円の付いたマークが尖がり屋根の上に付いている。雰囲気的にたぶん教会だ。
他の主要な建物は正面玄関が日当たりの良い南側に向いているのに対して、この建物の正面玄関は北向きだった。なので、入り口前の庭みたいなスペースは少し暗い。
入り口には例のごとく白虹を模したアーチ構造。そこに2人の女神様みたいなレリーフ。うーん、これはもしかして2つの月なのかな? 白虹の近くに2つある象徴的なモノといえば、それはもう2つの月くらいしか思いつかない。月が信仰対象?
中に入ると薄暗い大きな部屋にステンドグラスの光が綺麗に入ってきていて、幻想的な雰囲気を醸し出していた。なるほど、入り口が北向きなのはステンドグラスの光を中に入れるためだったのね。礼拝堂と思しき奥の壁の高い位置に大きなステンドグラスが配置されていた。
おそらく宗教的な意味を持つ場面の描写だと思うんだけど、こういう抽象的な描画ってよく分からないんだよね。なんかキレイ、それだけだ。
礼拝堂の中には長椅子が等間隔に置かれてはいるけど、人はほとんどいない。奥に司祭らしき人がいた。白虹を模したアーチを曲げたような独特の形状の帽子を被っている白ローブの人だ。胸にはアーチ形状のトップが付いたネックレスをしている。あのマークがこの教会のシンボルマークなんだろう。やっぱり白虹は信仰の対象なんだね。
礼拝堂の中央の天井は高い。おそらくステンドグラスからの光を効率的に入れるためかな。でも中央以外の天井は普通だ。おそらく両側は2階以上の上階があると思う。
高い天井にも長椅子の下にもホコリがない。掃除が徹底されているようだね。中央奥には2人の女神様っぽい人を侍らせた1人の男。もし2人の女神様が月で合っているなら、残りはもう太陽しかないよね。月と太陽の擬人化? ふーむ。
そうこうしていると何やら人が集まってきた。なんとなく皆統一された雰囲気のある服装をしているから、たぶん全員この教会関係者なんだろう。遠巻きにオロオロしている人や私に向かって祈っている人までいる。
うーん、これまで見てきた街の様相や教会内の装飾からみて、おそらくこの国は妖精信仰とかではない筈だ。たぶん白虹とか月とかに関係するものを崇拝していると思う。妖精のレリーフとか装飾なんて今まで1度も見ていない。そうすると、なんで祈られてるんだろ?
さっきの司祭のおじさんが、より偉そうな3人の男の人を連れてきた。初老2人と中年1人だ。服に金縁とかあしらわれていて、明らかにお偉いさんだ。クラスチェンジ司祭、
そんな
と思ったら中年
もう1人の
お城に戻ると食事が出された。初めての食事だ。あれ、今まで出されたことなかったよね? なんで突然今日は夕食ありなんだろう? とっても小さなお皿の上にとっても小さな料理が乗っている。私のために頑張って作ってくれたんだろう。
でも残念なことに、今日は冒険者ギルドでお肉を食べたし、小さな果物もいっぱい食べた。……お腹減ってないんだよね。申し訳ないと思いつつ私は食べなかった。鳥籠メイドさんがまた悲しそうな顔をする。いやー、ごめんって。
私は今日もお風呂に入れられ、まだ明るいうちに就寝した。
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