第14話 夢の中で兄としちゃう系妹
「……やっちまった」
深夜。ふと目が覚めて、自身のパンツを確認してそんな言葉を漏らしていた。
見た夢の内容が内容だったので、もしかしてと思ったが、もしかしたようだった。
「さすがに、妹との夢でこれはマズいだろ」
最近、妹の夏美が俺に接触してくる機会が増えてきた。ただの妹相手だったら、こんなことにはならなかったのだろう。
可愛くて女の子らしい体形をした妹。俺のことを性的に見ていて、俺と一緒にいるだけお股をぐちゅぐちゅにしちゃう女の子。そんな子に体を押し付けられてしまえば、徐々に自制心だって緩められてしまう。
そんな子がリアルにいるわけがない? いや、俺だってそう思うさ。
俺がこんな状況に置かれてなければな。
普段は何とか押さえ込んでいても、夢の中という自制心が緩くなる状況では理性を従わせることも難しく、俺は夏美相手にーー。
「……とりあえず、パンツ洗ってくるか」
俺は罪悪感と背徳感を拭えぬまま、新しいパンツを片手に自室を出て洗面所に向かったのだった。
「え、お兄ちゃん?」
「夏美?」
階段を下りて洗面所に向かうと、そこには夏美がいた。こんな時間に何をしているのかと思って、手元を見てみるとそこには水色のパンツが握られていた。
シンプルな造りをしているそれは、流水に当てられて少し色が濃いものに変わっていた。子供が身に着けるようなものではなく、大人のビデオなどで見るような造りをしていた。
妹がそんな下着を身に着けている。その事実と現物を前に、どくんと心臓が大きく跳ねたような気がした。
「そんなに見られると、恥ずかしいよ」
「へ?! 見てない見てない!」
「あれだけ見ていて、それは少し無理があると思うけど」
夏美は薬と小さく笑うと、こちらから視線を外して手元のパンツに視線を落とした。擦るようにして洗う仕草を前に、俺は気まずさを覚えて視線を外した。
そして、俺は自分が持っていた新しいパンツをバレない様に後ろに隠した。
「女の子だと、たまにあるんだよね」
「そ、そうだよな」
そんな雰囲気をくみ取ったのか、気まずさを少しでも払拭させようと夏美が言葉を続けた。
『女の子だと』。その言葉で夏美が何をしているのか大まかに察しが付く。そして、それは夏美が子供から女性へと変わったことを証明するものでもあった。
そんな事実と先程までの夢の中で乱れる夏美の姿が重なり、湧いてはならない感情が胸の奥で湧きだそうとしていた。
だめだ、寝起きのせいか自制心がいつもよりも大きく揺らいでいる。
「えっと、見られてもいいものじゃないよな。それじゃあ、俺はこれでーー」
「やっぱり、女の子の方が愛液とか出やすいと思うんだよね。びっくりしたよ。夢の中でお兄ちゃんとしちゃったせいか、お股がぐちゅぐちゅになり過ぎててーー」
「俺の気遣いを返せ」
「気遣い?」
夏美は俺の言葉の意味が分からないといったようにきょとんと首を傾げていた。
いや、普通に考えて女の子と言われればそっちを想像しないか?
ていうか、俺が変な夢を見ている隣の部屋で、夏美もそんな夢を見ていたということか。
ヤバいヤバい、抑えろ抑えろ。
「あ、そういうことか。……いや、さすがにお兄ちゃんデリカシーなさ過ぎない?」
「……それに関しては申し訳ない」
俺の考えていた事に気づいた夏美は、こちらにジトっとした目を向けてきた。さすがに、その気遣いは気持ちが悪いということなのだろう。
いや、そんなこと言われても女の子に対する気遣いとか分からんし。
そんなふうにしばらく俺のことをジトっと見て居た夏美だったが、何かに気づいたように俺の手元に視線を向けた。それは、俺が後ろで隠している方の手元。
何かに気づいたように、夏美の瞳の色が変わった気がした。
「お兄ちゃんも洗面所使うの?」
「え、ああ、少し手を洗おうと思って」
「手を、ね。ふーん」
「な、なんだよ」
「お兄ちゃん、今すごい匂いしてるよ」
「な?!」
夏美は自分の下着を洗い終えて、それを洗濯機の中に放り込むとこちらに体ごと向けてきた。
火照ったように赤い顔と熱を帯びたように潤んだ瞳。とろんとしたような瞳は、その匂いで少し酔っているようにも思えた。
「凄いえっちな匂いさせてる。これ、何の匂いなのかな?」
「き、気のせいだろ。ていうか、そっちこそデリカシーないんじゃないのか」
夏美はすんすんと匂いを嗅ぎながら、うっとりとした顔をこちらに向けていた。夏美の言っている匂いというのは、俺のパンツを汚したそれの事を言っているのだろう。
兄のそれの匂いにうっとりする妹はおかしいと思うぞ、お兄ちゃんは。
「それじゃあ、この質問に答えてくれたらさっきのお兄ちゃんの発言とイーブンだね」
「ぐっ」
そんな慌てる俺の姿を見て、夏美は大人びたような笑みを浮かべていた。からくように悪だくみをするように口元を緩めた夏美の表情は、どこか色っぽく見えた。
それから夏美はこちらに覗き込むような視線を向けると、言葉を続けた。
「私のこと考えて、汚しちゃったのかな?」
「ち、ちち、違うから!」
「あ、お兄ちゃん顔真っ赤だ」
「赤くないっての!」
夏美の言葉を受けて、体の奥の方が熱くなるのを感じた。その温度は体の奥だけで留まるような物ではないことは分かっている。当然、確認するまでもなく俺の顔は熱を持ってしまっているだろう。
認めるわけにはいかない。俺は夏美から視線を外して心を落ち着かせようと考えた。しかし、そんな関雅を先回りしたように夏美は俺と視線を合わせながら言葉を続けた。
「お兄ちゃんは妹とえっちなことする夢見て、おパンツ汚しちゃったんだ」
「いや、ちがっ!」
「くすっ。……私が洗ってあげようか?」
「っ!!」
夏美のそんな言葉が決定打だったようで、俺は逃げるようにその場を後にした。
熱くなり過ぎた体温を下げるためには、ここに長くいるのは得策ではないと思ったからだ。
決して、自制心が危なくなったとかではないのだ。
俺はお兄ちゃんだからな。妹が誘ってくるような表情でえっちな言葉を口にしても、なんとも思わないのだ。
後日、夏美がいなくなってから洗濯機に入れたはずのパンツの場所が変わっていた気がした。そして、なぜか夏美は寝不足気味だった。
お兄ちゃんだからな。俺はなんとも思わない。
……なんとも思わないのだ。
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