第3話 忘れることは得意

 気がついたときには、玄関先にいた。

 出かけるときの恰好だった。でも、なにかがちがう。

 夕陽が見えた。スマホを見ると、二時間がたっていた。

「なんじゃい」

 と、つぶやいてしまう。そのままスマホを操作した。写真を確認すると、ジャングルとマーガの画像が出て来た。

 夢じゃ、なかった。

「だとしたら、まずいぞ」

 そう思った。

 これは、今後どういう展開になる。

 ところがどっこい。なにもない。なにごともなく、その日は終わった。次の日になって、月曜日、中学校にいって、いつも通り授業をする。で、なにもない。

 なにもヘンなところはない。

 いやいやいや、ゆだんしてはいけない。と、気をはれるだけはって、三日がすぎていった。

 木曜日になって、ようやく、あれ、もう大丈夫なんじゃないか。と感じなってきた。

 スマホには、ジャングルの写真もマーガの写真も入ったままだったけど、だんだん、これはネットのどこかで拾って来たんじゃないかと思うようになってきた。気に入った画像は、指がかってに保存してしまう習性がある、それで、いつか、どこかで、ぷい、と保存したんだろう。

 よーし、よし。そうさ、そうだ。

 と、土曜日になるころには、ほぼ忘れていた。忘れることは得意だった。

 そして、日曜日になった。

 部屋にいて、午後二時になった。

 すると、また虹が見えた。

 今回は部屋の中で。

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