第三話
あ、あれ? 冒険者ギルドはどこだろう? ガリウスさんが分かりにくい場所に建てるはずがないんだけど。
割と直感的な思考の持ち主だったから…。
それでこの国の王様とか貴族の人に面白がられてたなんてお話を聞かせてもらったなぁ。
見ちゃいけない物を見てしまった気がする。
『主様、これは城でありませぬか?』
「ははっ。 看板に冒険者ギルドって書いてあるや。 僕は夢でも見ているのかもしれない」
「あら~。 この街は初めてかい? ここの領主様とここのギルドマスター様が面白い方でねぇ! 気付いたらとっても凄いギルドが出来ちゃってたのよ?」
「ソ、ソウナンデスネ」
「しかもね? アンタ! ここのギルドに負けじと領主様ったら邸宅をギルドより豪華にしてしまってね」
えぇ…。
それはそれで大丈夫なのかな?
「それで起こった陛下が王城を改築して、王城まで大きくなったって話よ?」
国家問題になってる!?
ガリウスさん何やってるの!?
「ガリウスさんしばらく会わないうちに何やってるの…」
「アンタ、ギルドマスター様とお知り合いだったのかい!? それは凄いことじゃないかい。 多分ここら辺の宿屋とか、食堂は無料になっちまうんじゃないのかしら?」
「そ、そんな! 悪いですよ!? 僕が凄いわけじゃないんですから!」
「それだけあの人には、いや、あの人達には感謝してるのさ。 ほれ、用事があるんだろ? 呼び止めて悪かったね。 これでも良かったらこれでも飲んでおくれよ。 ウチの商品さ」
「ありがとうございます! 大事に飲みますね!」
何だろうコレ。 ベリル系の香りがする?
『それはフレッシュブルベリルの果汁と柑橘の香りがするな。 後で我にも分けてくれ。 実は我はベリルが好きなのだ』
え、えぇ。 さっきのおばさんはこれを売ってるって言ってたし後で追加で買ってあげよう。
「分かったよ。 後でね」
とりあえず、この豪勢な扉をどうやって開けるのかを考えていたら勝手に開いた。
所謂自動扉と言う奴らしい。
「お、新人さんか! 頑張れよ~!」
ベテランさんっぽい方が気さくに声を掛けてくれた。
すっごい重そうな大槌を片手で持ち歩いてるし凄い人なんだろうな…。
「はい! ありがとうございます!」
周りから和やかな視線や、和やかな会話が飛んでいる。
決して嫌な物ではないし、このギルドにはテイマーも居るようだ。
意を決して受付に向かう。
「すみません! 冒険者の登録に来ました!」
「はいニャ! 君の年齢と職を教えて欲しいニャ!」
「十三歳! テイマーです!」
「ほほぅ! 名前なんていうニャ?」
「マルクって言います」
「ふむふむ、マルク君ニャ。 良い名前ニャ。 ん? 聞き覚えがあるニャ。 思い出せないニャ」
考え込む受付嬢の子。 歳は変わらなそうだ。
「あ、ところで何をテイムしているニャ?」
「ここで出すと少し騒ぎになるかもしれないのですが…」
「ここのギルドに腰抜けは居ないニャ! そうニャろ?」
うぉおおおおおおおおおおおおお!!! と地鳴りのような声が響く。
まるでお父さんを見ているみたい。 剣を振るたびに叫んでいたからね。
「では、失礼して…」
『主様、久々の召命心り感謝致します!』
『研究の途中に呼び出すなんて酷いわ!』
『ケラケラ…ウマソウナタマシイ…』
「「「「「「「ヒヒイイイイニャアアアア」」」」」」」
『む、すぐに我を再召喚したか、では先ほどの果汁を貰えるのか?』
ジュースね...?
というか、冒険者も受付嬢も固まっちゃった。
言葉を喋る魔物は珍しいからかな?
「おい、何の騒ぎだ! …って、おいマルク! どうしてここに? いや、冒険者登録か。 それはお前の従魔か? だとしたら喋ったよな?」
「は、はい」
「はぁ、可能性として、そこのアンデッドは【死者の宮殿】 の特殊個体達だな? 良くもまぁテイム出来たもんだ。 ましてや【天馬】 まで…。 ダンジョンには冒険者になるまで行くなと言った言いつけておいたが、お前がそれを守るとは思ってなかったけど…これほどとはなぁ。 流石は賢者の血を引く者だよ」
その一言で場の空気が張りつめた。
ほんわかした空気なんかじゃない。 新人を見つめる視線じゃない。
皆が僕を見つめるその視線が歴戦の猛者を見つめるソレになってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます