第9話 就職
翌週の月曜日に〇〇工業所の本社へ赴き、試験(一般教養と作文)を受けましたが、私一人のために人事課の方がつきっきりで応対してくださいました。
数日後、合格通知を戴き、後日、本社の工場見学(地下が巨大な倉庫になっており、数十トンの米が備蓄されています。この会社の創業者が、関東大震災や太平洋戦争時の東京大空襲での危機を教訓とされ、従業員ばかりか地域住民のために行っていらっしゃるということでした。)、車で技術研究所や浦安に建設中であった新工場の見学をさせて戴きました。
この時も、私一人のために人事課の方がつきっきりで案内してくださりました。
最後に、本社で人事課の課長さんが
「あなたにはこれから活躍してほしい。」
「入社したら、3年間、日本全国の工場を回り、勉強してきて下さい。」
「その間にいい人を見つけて来て下さい(笑)。」
「シカゴの工場にも行って頂くことになるかもしれません。」
等々、温かいお言葉を戴きました。
この会社というのは、本当に「従業員や地域住民を大切にする会社なんだ」と思いました。
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ところが、実際に私はこの会社へは行きませんでした。
○○工業所から合格通知が来るまでの数日間、
○「合格するかどうかわからないから、別の会社も受けておく」という当然の理由と○「一生に一度しかできない就職活動なのだから(入社した会社に定年退職まで勤め上げるというのが、その頃の常識でした)、
という理由で受けた「丸紅エレクトロニクス」(略称ME。現在は存在しない)という虎ノ門にある会社に就職したのです。
早い話が、メーカーの営業ではなく商社の営業を選択したということです。
就職課の団長と○○工業所の人事課の方々には、大きな不義理をしてしまいました。
私がME入社後、き○がいのように働いたのは、
◎ 大学の日本拳法部への不義理(卒業式の日、後輩たちが私の為に開いてくれたお別れ会に出席しなかった)
◎ 大学の就職課への不義理
◎ ○○工業所への不義理
という三大罪の意識が(深層心理の中に)あったのかもしれません。
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