第19話 認めてくれる
晴々した朝を迎えた。
今日は仁が両親に挨拶に来る日。
結局、私は眠れなかった。
今も緊張しているし、もう少しで仁が来る。
うわぁ、落ち着かない。
車の音がして彼が到着した。私は玄関を開けて待っていた。
「おはよう、くるみ」と彼は私の手を握りしめた。
「おはよう、仁。大丈夫だよ」と微笑んだ。
あの時のことが蘇って二人とも緊張していた。
居間に入ると和やかな雰囲気で父が座っていた。
母はお茶を用意していた。
「まぁ、座りなさい」と父が言った。
「失礼します」彼はガチガチになっていた。
「やっと来たか。私はもう少し早く挨拶に来ると思っていたんだがね」
「いや、あのー。遅くなり申し訳ありません。
私はまだ未熟者です。ですがくるみさんを誰よりも愛しています。病院を引き継いでやっていく決心もできました。くるみさんと一生添い遂げると誓います。僕にくるみさんを頂けないでしょうか?」
と頭を下げた。
「仁君、あの時とは別人だな。合格だ。ふつつかな娘だがもらってくれ。こんな若い子がくるみの旦那になるなんて誰が予想できたかな。愉快だよ」
と父は機嫌良く笑っていた。
「仁さん、くるみの事よろしくお願いしますね」
と母からも言われて、彼はホッとした様子だった。
彼は父と病院の話を楽しそうにしていた。
「お父さんね、あの時言い過ぎたって反省してたのよ」
「今の仁も私もあの時があるから成長出来たし
良かったと思う」
「そうね」母もにこやかな笑顔だった。
彼と私はそのまま彼の両親宅へ向かった。
二人で中に入る。お母様が待っていた。
「あら、早かったわね。お父さん待ってるわ」
とリビングに案内された。
「よく来たね。まあ座りなさい」
「お父さん、本日くるみさんのご両親から結婚の承諾が得られましたので報告に来ました」
と緊張気味に伝えた。
「そうか、おめでとう。仁良かったな」
「はい」と晴々していた。
「お父様、お母様。ふつつかな嫁ですが末長くよろしくお願いします」と挨拶した。
「仁をよろしく頼むよ」お父様は嬉しそう。
「くるみさん、仁は貴方だけなの。仁をお願い」
とお母様は泣いていた。
それから二人は仁の自宅に戻った。
もう夕方になっていた。二人はソファに座って
グッタリしていた。
私はハーブティーを入れた。今日のお茶は格別に美味しかった。
「お腹空いたね」と彼が言った。
そういえば何も口にしていなかった。
「確かピザが冷凍してあったと思う。今から焼くから待ってて」
彼は私を抱き寄せた。
「くるみ、随分と待たせてごめん。やっと夫婦になれるよ。くるみは僕だけのものだよ」
彼は優しく口づけをした。
二人でピザを食べた。彼は
「明日から少しずつくるみの荷物運ぶといいよ。
ルナちゃんも忘れずに。ベッドは僕ので充分だからいらないよ。あと、くるみの部屋が欲しければ狭いけどここ使って。クローゼットも空いてるし」
「入籍と式は6月でいい?ジューンブライドにしたいんだ。6月に結婚したら幸せになるって言い伝えがあるしね」
「仁、考えてくれてたんだね。ありがとう」
私はとても嬉しかった。
「もう遅いから送っていくよ」
と彼は自宅まで送ってくれた。
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