第11話 社内で
私は上司にコピーを大量に頼まれていた。
隣は給湯室になっている。女子社員の声が聞こえてきた。
「最近よく会社に来る山田さん素敵よね。私の好み。独身なのかなぁ?」
「あー、あの人昔ここの会社にいたんだよ。
そういえば、くるみさんと結婚したんじゃなかったっけ?」
「ええー、くるみさんが?だけど山田じゃないよね?」
「うん、たぶん離婚して戻ってきたって聞いたけど」
「そうなんだ。じゃあまだ私にも可能性はあるね。だって年上で会社の社長だし、俺について来いって感じだよねー」
「あんた、俺様が好みなの?意外だったわ。直接くるみさんに聞いてアドバイスもらったら?」
「そうだね。それもありだね」
私はバレないようにじっとしていた。
いやいや、アドバイスなんて無いよ。それに俺様じゃないし。健吾の好みなんて知らないよ。
なるべく関わらないようにしようと思った。
会社の玄関先で
「くるみー、今帰りか?」健吾だった。
「うん」
「急で悪いがお父さん居るかな?」
「どうかな?母さんに聞いてみるから待ってて」
私は母に電話した。
「父さん居るって」
「ありがとう。これから行くからよろしく伝えて」
と行ってしまった。
私は母に健吾が行くことを伝えた。
女子社員がその光景を見て勝手に噂をたてられてしまった。
翌日、同期の佐和子が私を呼び出した。
「くるみ、健吾さんと復縁するの?噂になってるよ」
「えっ!復縁?絶対にない!だって私」
と言いかけてやめた。
「今なんか言いかけなかった?」
佐和子がじっと見た。
「何でもないよ。私独身楽しんでるから」
と誤魔化した。危ない。誘導されて口走るところだった。健吾の事より仁の事がバレた方が大変だ。とにかく目立つ行動は避けよう。
お昼休み。健吾をお気に入りの女子社員が
「くるみさん、お話いいですか?」
「ええ、何か?」
「山田さんと復縁するって本当ですか?」
ズバリ聞いてきた。
「嘘です。復縁はありません」
とキッチリ答えた。
「良かったぁ、まだ望みはある」
と喜んで行ってしまった。
これで噂も上書きされたので大丈夫だろうとホッとした。
案外、健吾もモテるじゃん。
今度会ったら教えてあげようと私はニヤニヤした。
明日は休みなので仁に会いに行こう。
朝ごはん一緒に食べたいと言っていたから早起きしなきゃ。
合鍵をもらったのでそっーと入る。
彼はまだベッドの中。耳元で優しく
「おはよう、私の王子様」と囁いた。
彼は「あれ?くるみ?」
寝ぼけてる仁も可愛い。
私は彼に口づけをした。
彼は私を抱き寄せて
「もっと続きする?」と囁いた。
「あの、えっと」と顔が真っ赤になった。
「朝から可愛いよ。くるみ」
と言って私はベッドの中へ引き寄せられた。
少し遅めの朝食を一緒に食べた。
今までは私ベッタリの休日を過ごしていた彼だったが、最近は忙しそうに自宅で仕事をしている。
なんか寂しい。
私は掃除や洗濯をして、最近はラノベに興味があり異世界ものを好んで読んでいる。
後ろから「何読んでるの?」と彼は目隠しした。
「ナイショ」
彼は私の隣に座り
「くるみ、寂しくない?」と聞いてきた。
「最近お仕事忙しそうだし仁の邪魔になりたくないから我慢してる」
と言うと私を強く抱きしめた。
「くるみ、ありがとう。我慢させてごめん」
「仁に会えるから平気だよ」と微笑んだ。
彼は私を愛おしく見つめ口づけをした。
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