第2話 突然の再会
私の日常が戻ってきた。
ルナの一件でストレスを溜めたいようにしようと思い、今日は会社の有給休暇を取ってフリーデーにした。
一年ぶりの映画鑑賞。平日に映画なんて贅沢だ。久しぶりの映画館にワクワクした。
この独特の雰囲気、ポップコーンの香り、流れてくる迫力ある音楽。もう最高!
チケットを買ってポップコーンとコーヒーを買っていざ会場へと振り返ると、にこやかなイケメンがこちらを見て頭を下げた。
えっ、誰?
私の周りを見渡したが私しかいない。誰?この人。
こちらへ近づいてきて
「こんにちは、ルナちゃんはどうですか?」
「あっ、先生。ルナは元気です。あの時はありがとうございました」と私はびっくりした。
白衣姿の時とは想像できないくらいのイケメン男子が笑っていた。
「あのー、映画を見に来たんですか?」
「えー」と一言先生が答えた。
私はなんだか恥ずかしい気持ちになり「では」と急いで会場へ向かおうとすると
「あのー、お一人ですか?」と先生が尋ねてきた。
「はい」
「一緒に映画を見ても構いませんか?僕まだチケット買ってなくて、何の映画か教えてくれますか?」
私はえっ、なんで?と思ったが
「ジュラシックワールド」と答えていた。
先生は急いでチケットを買って、爽やかな笑顔でこちらに駆け寄ってきた。
私の身に何が起きているのか理解できない。
もうかれこれ男の人とデートみたいな事を10年以上していない。それに何故こんなイケメン男子がおばさんと映画を一緒に見るのか理解不能である。私は何を話していいか分からず無言になってしまった。
「会場へ行きましょうか、始まりますよ」
と言われ、私は取り敢えず今は映画を楽しもうと切り替えて会場へ向かった。
席に着いた私は先生に
「ジュラシックワールドで良かったのですか」
と質問すると
「はい」と一言。
うーん、よく分からないが映画に集中したいので他の事は考えずスクリーンに注目した。
恐竜好きの私はジュラシックの大ファンであり、これまでのシリーズは全部映画館で見てきたのだ。この音量と大画面。それに恐竜たちの迫力がたまらない。で今回はシリーズラストの作品なのだ。
私のテンションも爆上がりである。
エンドロールが流れ私は余韻を楽しんでいた。会場が明るくなり席を立って歩き始めると後ろから
「面白かったですね」と声がした。
映画に夢中の私はすっかり先生の存在を忘れていた。そうだった、私は先生と一緒に映画を見ていたのだった。あー、失礼なことをしてしまったと反省した。
「はい、面白かったです。シリーズラストなのでどう締めくくるか楽しみで、まぁ良かったと思えた内容でした。今恐竜がいたら私はすぐ食べられる人だけどね」と答えた。
「僕も食べられる人だよ」と先生はクスッと笑った。
私はこれからショッピングをするつもりでいた。
「先生、今日は付き合っていただきありがとうごさいました。私はこれから買い物があるので失礼します」と言うと
「あの、もし迷惑でなければお腹も空いた頃ですしご飯一緒にどうですか?」
と先生が言ってきた。
私はドキドキした。どうして私を誘うのよ。どうしよう、私どうしたらいいの。頭がパニックになる。だが確かにお腹は空いている。それにもう二度とこんな出来事はない。おばさんがイケメン男子に誘われるなど絶対にない。後で友達に自慢話しよう。ちょっとした心のオアシス気分でOKした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます