恋愛に年の差なんて関係ない

きんつば

第1話 プロローグ

もう離婚して10年が経とうとしていた。

私は45才になり実家に戻り両親と愛犬(トイプードル)のルナと暮らしている。


仕事は社員として入社していた会社の上司に声を掛けてもらい契約社員として住宅の設計助手をしている。

最近、年齢を感じる事が多く私より10才以上若い社員にダメ出しされる毎日。

些か少し疲れてきた。唯一の趣味は映画鑑賞なのだが全然行けてない。

ストレスが溜まっているのが、自身でもひしひしと感じていた。


情緒不安定な私のせいで愛犬ルナが体調を崩してしまった。行きつけの病院では原因が分からないと言わた。藁にもすがる思いで地元で流行っている動物病院で診てもらうことにした。


ルナは食欲もなく口の中に血の塊が出来ていて下痢が続いてグッタリしていた。私はこんなに苦しい思いをさせてしまったと後悔の念が渦巻いた。


急患の扱いで診察してらえることになった。診察室に入ると30才前後かな?若い先生が立っていた。ルナの状態を観て血液検査、レントゲン、エコーを取った。

その間に私は今までのルナの症状を先生に説明するうちに涙が溢れてきた。先生は何も言わずに優しくティッシュを渡してくれた。私は少しドキリとしたが、涙と鼻水でいっぱいになりもらったティッシュで豪快に鼻をかんだ。


先生はクスッと笑って

「もう少しで結果が出るので待合室でお待ちください」と言われた。


診察室に呼ばれた。

先生の話によると、ルナは血小板がとても少なくて出血したら血が止まりづらいとの事。

ルナは歯磨きのできない子だったので歯槽膿漏で歯茎が腫れて出血し歯茎に血が溜まっていたようだ。痛みもあるし出血で貧血を起こしてるから食欲もなく、下痢を伴う血便が出るようになったと説明を受けた。他には特別な原因になりそうな病気は無いので安心した。


まず薬で血小板を増やして歯の手術をすることになった。ルナの事は私の管理不足でなったことだ。深く反省している。


そして一週間が経った。ルナはすっかり元気になりグッタリしていたのが嘘のようだ。今日は病院の診察の日。

この病院は混んでいる。予約制なのだが時間通りにいくことはない。私も一時間も待たされてやっと診察してもらった。

先生はルナの状態を診て安心していた。血液検査の結果も良好で血小板も平均値以上あるので5日後に歯の手術をする事を決めた。

ルナは大切な家族。13歳なので手術でもしもの事があるかもしれないと不安だったが、このままだともっとルナが苦しむ。もう苦しむ姿は見たくない。


手術当日。ルナを病院に連れて行く。不安そうにしているルナを見ながら、無事手術が終わるように祈るしかない。

病院から無事手術は終わったので夕方迎えに来てほしいと連絡が入る。少しホッとした。

診察室に呼ばれ中に入ると、麻酔も切れて元気そうにしているルナがいた。


「ルナ、よく頑張ったね」と私は頭を撫でた。

 

先生には今後はしっかり歯磨きをして、残った歯を大切にしてほしいと言われた。

看護師に歯磨きの指導を受けて、一週間後に病院に行く予約を入れた。


確かに、ルナが嫌がるからと歯磨きをしなかった私の責任だ。もう二度と繰り返さないように努力しようと決意した。


ルナは手術の為今日一日はご飯抜きなのである。私に必死におねだりしてくるルナ。心を鬼にして私もガマン。


「明日になったらね」とルナを抱きしめた。


病院最終日。先生も口の中を診て安心したようで、もう大丈夫だと言われる。

病院も無事終了したし今日はお祝いだね。


ルナも頑張って歯磨きさせてくれるようになった。ルナの事で必死になっていた一カ月。

家族が元気なことがどれだけ素晴らしいことなのか実感した。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る