第1話 エリサ

入学式


「前の服屋のお姉さんくらいの女性がたくさんだな。先輩?同級生は?でも入学式だよな?えっ、みんな同級生?この人達みんな?男はまーそんな感じだよな。でも同い年の女の子があんなに…」


 そんな事を考えている内に入学式は終わった。男子校育ちのあるあるだ。女の子がいきなり大人の女性になっている。ちなみに自分の成長にも気づいていない。聖司は呆然として帰宅する。あのお姉さんも同じ歳くらいかな?



 聖司はもう一度あの服屋に行った。お姉さんはニコニコと他の人の対応をしている。


「やっぱりあの笑顔はみんなにか。」


 聖司は残念と思い店を出ようとしたら…


『あっ、お兄さんまた来てくれたんですね。服似合ってますよ。今日はどうしました?』


「覚えててくれたんですね。あ、今日は時計とかアクセサリー類ともう一足靴が欲しいなと思って…」


『ありがとうございます!他のお客さんの対応終わったらすぐ来ますので、見てて下さいね。』


 やっぱり可愛いな。みんなに対しての笑顔だとわかってても好きだな。色々と考えているとお姉さんは小走りで戻って来てくれた。揺れたおっぱいがこぼれそうで手で受け止めたくなるが我慢した。


『お待たせしました。安田さん。まずはアクセサリーから見ましょうか?』


「あ、あれ?名前言いました?」


『前に書いてもらったポイントカードの控えを見せてもらってたので。私はエリサです。』


「なるほどですね。はい。ネックレスを…あっ、このエリサさんのしてるのがいいです。」


 聖司は谷間の間にトップスが挟まっている、シルバーの店のロゴの男の人の顔が掘られたネックレスを指指す。エリサさんは何故か赤くなっている。


『あ、このネックレスですね。は、はい。メンズの大きさでいいですか?』


「はい。エリサさんがしてるととても可愛くて。半分しか見えなかったですが。下さい。」


『安田さん、ここまで言うと恥ずかしいですよ。』


 エリサさんは恥ずかしそうに小声で話す。しまったな。男子校のノリで話してしまった。


「ご、ごめんなさい。後、時計と靴をお願いします。」


『あはは。安田さんは優しいですね。はい。時計はこちらです。』


「エリサさんは何歳なんですか?」


 聖司は変なタイミングでエリサさんに質問した。


『えっ?23ですよ?』


「そうなんですね。18歳なんて子どもですよね。」


『あははっ。そうですね。若いですね。』


「そうですよね。時計はこれがいいです。」


 聖司は投げやりになってしまい、1番高い時計を選んだ。やっぱり子どもなんだな。これからあの大人の女性と話せるのか。よし、女性も子どもと思って…女の子と思おう。聖司は変な考えで意思は固まってしまう。


 気まずくなった聖司はその後最低限の事しか話せなくなり、靴も高いブーツを買い、合計15万を支払い店を出た。エリサさんの笑顔は可愛かったが少し困った表情も見られた。


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