第8話 佐々木さん①
聖司は優子さんが結婚したのを優子さんからのメールで知る。別れたとかのメールだったらもっと嬉しかったのかなとか考えるが、素直に結婚をお祝いするメールを返信した。
「おめでとうございます。忘れないよ。ありがとう。」
聖司は3日間少し引きこもった。周りには短いと思われたが、講義など一回も休んだことのない聖司にとってどれだけの事か。
聖司はチャットの他にも最近始めた事がある。それはブログである。主には自炊レシピを写真付きで載せる。ただそれだけだ。前回は…
①鍋に牛バラ肉と水700ccを入れ、火にかける。
②その間に野菜を切り、電子レンジで4分加熱。
③ ②を①にくわえる。
④沸騰したら、火を止めカレールーを入れる。
⑤火をつけ、とろみがついたら完成。
調理時間10分の時短レシピだ。
見てる人は少ないが、自己満足だ。何を食べたかの日記がわりだ。
そのカレーのブログの読者からシークレットコメントが届いた。聖司にしか見れないコメントだ。
【なかなかやりますね。良かったら私とメールしませんか?ブログの横顔の写真に一目惚れしました。………@…….ne.jp】
怪しい。カレーを匂っている横顔の俺に一目惚れだと?でも気になるので、その人のブログを見に行く。その人もお菓子の写真を中心に載せている普通の人だ。顔はわからないが、お菓子作りが好きなんて、絶対家庭的だ。
サクラや怪しい誘いメールではないと理解して、聖司は早速メールした。
【メールアドレス教えてくれてありがとうございます。聖司と言います。よろしくお願いします。本当に一目惚れですか?】
すぐに返信が来た。
【ありがとうございます。こんなコメントするの初めてだったので緊張します。佐々木香織です。よろしくお願いします。本当に一目惚れです。かっこいいです(≧∀≦)】
その後、佐々木さんと1日中やり取りした。やり取りして、色々お互い知ることができた。簡単に説明すると、25歳のお菓子作りが好きな隣の市に住んでいるOLさんだ。今度会う約束までしてしまった。
【じゃあ、〇〇市の〇〇駅に18時にね。楽しみにしてるね。】
聖司は久しぶりのデートだ。やっぱり、外で女の人と待ち合わせなんて緊張する。でも、初体験をしてるからか少し堂々とできる。
佐々木さんは、OLなので仕事終わりに待ち合わせだ。OLだから聖司は大人っぽい服装にした。いつもはジーンズにTシャツだが、今日は白のVネックに紺のセットアップだ。香織さんと並んで歩いても少しでも違和感ないようにしたかった。
時間になり、緊張しながら、香織さんから聞いた特徴の人がいないか見渡す。聖司も特徴として黄色のハンカチを手に持っとくとメールしておいた。探していると…
「聖司くんかな?香織です。お待たせしました。」
横から声が聞こえた。落ち着いた綺麗な声だ。
「はい。聖司です。香織さん。今日はよろしくお願いします。」
「敬語やめてよ〜。聖司くんの横顔ですぐわかったよ。行こっ。」
香織さんは、聖司の腕にしがみついて可愛く上目遣いで見てくる。香織さんは目が大きく、髪型は肩までのセミロングで少し明るい茶色のフワッとしたいい匂いが香る。いきなりの先制攻撃で聖司はクラクラだ。
香織さんは仕事が出来そうな美人さんだ。それよりも聖司にしがみついてくれてるから、腕全体に当たっている柔らかい大きな物に後全身の神経が向かっている。最高だな。
「聖司くん、やっぱりかっこいい。そうだ。店予約してるから、食べながらゆっくり話しよ。さ、行くよ。」
香織さんは頬を少し染めて聖司の腕に絡みついたまま一緒に歩く。歩きながら腕から自然に恋人繋ぎになる。手を繋ぐだけで下半身は膨れ続ける。
香織さんが予約していたのは、オシャレな多国籍料理の店で、個室だった。何故か向かい合わせではなくて、横並びに座る。
「こっちの方が聖司くんの横顔見れるから嬉しいな。」
香織さんは言いながら、手拭きやお箸など用意してくれる。男子校育ちの聖司には出来ない大人の気配りだ。大人の色気と立ち振る舞いで聖司はもう香織さんの虜になっていた。
「横顔いいですか?香織さんの横顔と横からのシルエットの方が素晴らしいですよ。」
本当に香織さんの横顔は綺麗で、座り方も背筋が伸び、出る所は出ている。椅子で潰れたお尻と太ももも最高だ。
「聖司くん、シルエットなんてエロいね。シルエットじゃなく、実物を見てよ。」
可愛く膨れている。
香織さんの大人の色気や気配りの極めつけは飲み物が来て乾杯をする時、グラスを聖司のグラスより少し下にして、ちょんと軽く当てる程度。一口飲む横顔。グラスについた口紅を拭き取る仕草。
そしてニコッと笑い聖司にしがみつく。その洗練された一連の流れと笑顔のギャップに聖司は酔いしれた。お酒ではなくノンアルコールカクテルだけど酔った気分だ。香織さんはオレンジのカクテルを飲んでいる。
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