第59話

「亮介と別れた原因ってなんなの?」


「関係ないです」


「ならさぁ、私付き合おうかな」


「…いるかさん、亮介くんは男の子と付き合ってますよ」


「まじ?じゃ、絵里ちゃんとかどーでもよかったわけじゃん」


「違います。私と同じ名前でその男の子を呼んでます」


「は?なんのプレイ?」


「うちの近くに同棲してますよ。窓から見えるかもしれません」


窓を開けると、ちょうどドアから出てきた。


「…えー、絵里ちゃん双眼鏡なんか持ってるわけ?」


「これは舞台を見る時使うんです。ほら、男の子と出てきましたよ?」


いるかさんに双眼鏡を渡す。


「…えー、女の子じゃん。しかも、なかなか良い女よ」


「ありえません」


「スタイルいいよ?」


「…いるかさんの趣味ってことですか?」


「絵里ちゃんの妄想どーんどん酷くなってるね。現実逃避?亮介、楽しそうじゃん」


「…ありえないですよね?女の子に見立てるなんて」


「別れたんでしょ?もう関係ないよね」


「そ、そうですよ」


「なのになんで覗き見?」


「たまたま…」


「亮介がまだ好きなわけ?」


「いいえ」

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