第57話

「でー絵里ちゃん、主演決まった?」


「次回のは、無理でした。美香さんに…」


「あー、美香ちゃんもいるもんね〜いやー、絵里ちゃんの方が若いからいいのにね」


「…そうですか?」


「さぁね〜」


雑な反応。


「なにこれ、お守り?」


机に置いてたお守りを、いるかさんは見つめた。


「…それは、彼氏にもらいました」


「え!彼氏!?いたの!?」


そんな驚かないでほしい。


「奄美の人で、同級生ですよ」


「えーまじー?羨まし〜」


いるかさんは結婚したけどすぐ別れた。子供がいるらしいけど、見たことない。


「彼氏欲しいんですか?」


「そーよ!当たり前!」


いるかさんがお守りをぎゅっと握ると、かさっと音がした。


「なんか入ってるみたい。見た?」


「え?」


どうやら、紐を外すと中に紙が入っていた。いるかさんが開くと…そこには文字が書いてある。


「これを見てるか見てないのかわかりませんが、これが最後のメッセージになります。今までありがとうございました…って、この人死ぬの?遺書?」


「…まさか。ありえないこと言わないで下さい。これは、たぶんもう連絡しないってことですね」

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