第50話

「亮介くん!どうしよう!」


元カノさんがなぜうちを知ってるんだろうか…チャイム何回も押してる。


「ん?なに?…悪い、また後で」


電話を切らせてしまった。


「どうした?」


「…元カノさんが、何回もチャイム押してきて」


「え?なんで?家は教えてないんだけど」


「わからないけど…」


亮介くんの電話が鳴った。


「あ…?げー、兄貴じゃん…」


「お兄さん?」


「…電話とか珍しすぎ」


しぶしぶ電話に出る。チャイムは止んだから諦めたのかな…


「なんだよ」


兄弟は、仲良しなんだろうか?ちょっと、友達と話す時より乱暴な気がする。


「は?うるせぇよ」


バンっ、といきなりドアが叩かれた。モニターを覗くと…え!いる!


「亮介くん!いるんでしょ!」


声が…なんで…


「ど、どうしよう…」


「え?なに?」


「元カノさん…きた…」


「は?なんでここまで?…俺が出るから、ちょっと兄貴と話してて」


え!?携帯を渡された。


「え、…あ、あの…」


「…彼女?」


「あ、はい…」


亮介くんがドアを開けるとすごい剣幕の元カノさんが入ってきた。私はリビングからこっそり覗く。


「なんで電話にも出ないの?メールしたでしょ?」


「…どうやってここが?」


どうしよう!私じゃ止められないよ!


「なに…?騒々しいね」


電話口から、お兄さんの冷静な声が聞こえた。

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