第47話

帰り、雨が降っていた。亮介くんは、花柄の傘をさした。


「あ、それオシャレだね」


教授の旦那様は車で送ってくれると言って、一緒に外に出たけど、傘に注目するとは。


「ありがとうございます」


「それは、亮介くんの傘?それとも美作教授のもの?」


教授もついてきた。


「これは俺の傘です。好きなデザイナーのもので」


「男なのに花柄?」


「なに言ってんの?別にそんなの関係ないよね?この色合いとかいいね!」


旦那様はにっこりとしてる。


「これ、すごく気に入ってます」


すごいな、亮介くん。好きなものを好きってちゃんと言えるから。


「そっか。亮介くんはいいものとか面白いものとか、見つけるの得意そう」


「そうですか?ありがとうございます」


「さ、車乗って」


…高級な車。いいのかしら?

そして、亮介くんは普通に助手席に座った。

家の場所を教えると、驚かれた。


「え!ど、同棲してるの!?」


「そうです。俺ヒモです」


「…いや、面接早めに受けたらいけるから。犬小屋はそれからでいいよ」


「ありがとうございます」


「…亮介くん、俺今日話聞いて思ったんだけど」


「はい?」


「亮介くんは、今のままで、そのままでいていいから。だから、そんな感じで面接受けたらきっと大丈夫」


「わかりました」


わかってるのかなんなのかわからない返事をした。面白い。

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