第37話

昼休憩のとき、みんなはざわざわ話してる。私のことなんか見えてない。


「亮介、電話も出ないし…」

「大丈夫なのか?あいつ」

「今どこにいるんだ?」


ぼんやりみんなを眺める。


「なんで元カノを殴ったりするんだ?関係ないだろ?」

「亮介そんなことする?」

「しないでしょ」


なんでみんな亮介くんのフォローを?私は?


「あ!青上さ…」


ようやく気がついたようで。


「亮介なんで殴ったりしたんだ?理由は?」

「やめなよ。被害者なんだから」


すると、みんな私から離れてく。私は悪くない。それなのになんで?


「あぁ!いた。絵里ちゃん、こっちで話しましょう」


安菜さんが、食堂に私を探しにやってきた。こんなこと、はじめてだ。

ついていくと、外に連れ出された。


「亮介、反省してる。でも、ここにはいられないって」


「…そう、ですか」


「…すごく、悲しそうだった。これからどうするのか聞いたけど、わからないって言ってたわ。私じゃなにも力になれない。でも一つだけ言わせて」


私に向き合う安菜さん。


「亮介が、暴力を振るうなんて、考えられないけど、私も座長として謝ります。申し訳ありません」


安菜さんは深々と頭を下げた。


「本当…なんです」


「そうね…でも長年いた仲間が辞めるのは、辛い。じゃあ、私は舞台のリハあるから」


安菜さんはさーっといなくなった。なんで、亮介くんのために謝らないといけないの?本人は謝ってないのに。

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