自主的に

第36話

昨日、亮介くんにぶたれた。そのため、左の頬が、腫れ上がった。最悪…私は舞台女優なのに。口の中も切れたし!そのことを、美香さんたちみんなに話すことにした。道中見られるのは嫌だから、タクシーで行った。


「え!絵里ちゃんどうしたのそれ!」


「…亮介くんが、殴ってきて…」


早速美香さんは私の異変に気がついた。


「えぇ!?え?そんなことする?」


「私のことが、諦められない…そういうことだと思います」


「えーありえない!安菜さんに報告しないと!」


美香さんは大慌てで電話している。たぶん、他の舞台で活動中かもしれない。他の女優たちとも会うとみんな驚いて、その度に同じ説明をした。亮介くんは、これでみんなからの人気はなくなるだろう。


「絵里ちゃん…安菜さんに連絡したんだけど…」


「…はい、仕事忙しいんですか?」


「それが…昨日のうちに、辞めるって言ってきたんだって」


…え


「絵里ちゃんを…殴ったって…自分から言ったそうだけど」


「そ、…そうなんですね」


まさか、自分から辞めるとは思わなかった。だって、舞台の仕事やりたくてこの業界入ったのに。普通辞める?


「安菜さんは説得したみたいだけど…もう来ないみたい」


あっけなく辞めるなんて。亮介くん、仕事に対する姿勢どうかしてる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る