第33話

「亮介くんおかしいもん。女装男子と生活するとか」


「は?会ったよね?」


「男が好きなの隠してたんだ」


「違う」


「りょ、亮介くん?」


噂の彼女(男の子)だ。スーツしか着ない。背伸びでもしてるつもり?


「…話はもういい?帰るから」


すると、男の子は花柄の傘を開いた。


「なにそれ…女の子のふり?亮介くんに感化された可哀想な男の子ね」


「…行こうか」


亮介くんはその傘を受け取り、先に雨の中に出た。


「男の子の家に帰るんでしょ?お母さんたちには話したの?…あーそっか。話したら、キモいから出ていけって?」


笑える。そういうことになってたわけか。


「…わけわかんないこと言われても困る」


男の子は、先に行こうとしていた亮介くんの傘に入ろうとした。相合傘ってこと?むかつく。


「待ってよ、彼女さん」


バックを引っ張ったら、中の物が出てきた。雨が降っていて、水たまりに落ちた。携帯と、かわいいウサギ柄のポーチ…?


「なにこれ?」


思わず拾う。


「あ!私の…」


「どういう趣味?」


「おい、絵里。勝手に触るな」


亮介くんが私のほっぺを叩いた。一瞬だった。


「いいかげんにしろ」


亮介くんは私が持ってたものと、落ちたものを拾って、彼女の手を引いて去っていった。唖然とした。

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