第31話

帰り、亮介くんを見かけた。電車も同じ方面。まだ同棲してるらしい。駅で降りたところを捕まえた。


「亮介くん、ちょっと話がある」


「え?絵里…なんで?」


だが、のこのこ私についてきた。駅の待合は空いていたからここでいい。


「私の彼氏見たなら、ちゃんと説明して。なんで知らなそうにしてるの?おじさんとか言われてるんだけど」


「…いや、よく知らないし」


「そんなわけない!って言わないの?どうして私に不利なことばっかり言うの?」


「なにも言ってないけど」


「自分のことばっかり」


「そうだけど…それがなに?」


「ひどい!私がみんなから変な人に見られてるでしょ?なんとかしてよ」


「…は?」


「美香さんは私が付き合ってないんじゃないかとか言い出すし。安菜さんだってどんな彼氏なのとか、おじさんって噂知ってるから言ってるの。亮介くんのせい」


「…なんで?」


「わからないの?」


「わからないよ」


「普通助けるでしょ?知らない人ばっかり助けてるくせに」


「…どうしてほしいの?」


「私は女優なのに!もっとみんなに人気なはずなの!」


「…それで?」

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