第26話

「彼女のことなんて呼んでる?」


「名前呼びです」


「なんて呼ばれる?」


「亮介くんです。呼び捨てが恥ずかしいとか言ってて」


「おーかわいいねぇ」


「そうなんですよ」


なにあれ、にやにやして。私のことそんなふうに話したことある?男好きなの?


「絵里ちゃーん!いるー?」


う、美香さん。なんでこんなとこまで


「あ、はい…」


「彼氏がきてるよー!みんなも見るー?」


うそだ…なんで…


「あ!絵里ちゃんいたんだ!愛理も見たい!行こうよー」


そんなぁ。亮介くんは気にせずご飯食べてる。その後、入り口まで美香さんに連れてかれた。後ろから何人かついてきた。


「あ、青上さん」


…名前呼びじゃない。


「…わざわざどうしたの?外で話そう?」


「え」


無理矢理外へ連れ出す。雨が降っていたから、屋根のあるとこまでで。そんな私たちを、ガラス扉の内側からみんな眺めてる。会話は聞かれないだろう。


「…どうしたんですか?」


「…昨日、これを渡しそびれて」


は?


「お土産です」


プレゼント?


「ありがとうございます…」


小さな包み紙だった。これどうやって中に持って入ればいいんだろ。


「用事はそれだけです。では」


「あ、はい」

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