誰?

第8話

ぼーっとして待ってたら、ミントグリーンに黄色の大きめな花柄の傘をさした人が歩いてきた。


「お待たせ」


手ぶらの亮介くんだ。


「…荷物は?」


「ん?リュックだよ」


「…じゃなくて、資材は?」


「大丈夫。注文してきた」


「あ…そういうやつなの」


てっきり大荷物だと。


「帰ろう」


「…うん」


不思議だ。亮介くんが、学校にいる。夢か現実か、曖昧になる。傘に入れてもらえるなんて、どういうことかわからない。


「この傘、なんで花柄にしたの?」


女物に見えるけど…


「この配色が好きだから」


「…色で選ぶの?」


「そうかもしれない」


「駅で待ってた?」


「そうだよ」


「ごめん…約束したのに」


「いいよ」


なんでも許しちゃうんだろうか?


「亮介くんは…私と歩いてて嫌じゃない?」


「なんで?」


「男に見えるから…」


「え?なんで?」


亮介くんは、何か嫌なこととかないのだろうか?


「かわいいよ」


…恥ずかしいこともさらっと言ってる。私はまだ慣れない。


「お、電車ちょうどきた」


マイペースで、一緒にいたらなんだか落ち着く。

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