第7話

「…そうかもしれませんね」


「そういえばー教授は結婚したんですよね?しかも、うちの学校で主席卒業の方だとか?論文で見たことある名前でしたよ。本当、教授すごいですよね」


「そうですね」


「研究室にこもってばかりだけど、ちゃんと婚活とかしてるとか。見えない努力すごいって感じですよね。美作教授は女諦めてますから関係ないですけどねぇ」


…嫌になる。私はこんなとき、どうしたらいいのか、わからない。


「じゃ、お疲れ様〜」


男になったらいいって?はー嫌だ。どっちつかずの私。ぼーっと自販機の上の時計を見る。さて、そろそろ仕事に戻って…あ!しまった…19時になってる。慌てて電話する。


「ごめんなさい!仕事に集中してて…」


「今どこ?」


「…まだ、研究室」


「そうなの?傘持ってる?」


「え、傘?今日は晴れだよ」


「いや、雨降ってる。折り畳みだけど、迎え行こうか?」


「え、場所わかる?」


「わかる。研究室の場所は知らないから、…食堂ならわかるかも」


「なんで、わかるの?」


「学祭に行ったことある」


「そっか…じゃあ、食堂前にいる。屋根あるから」


「わかった」


すぐに電話は切られた。

…あ、資材買うとか言ってたのに。大荷物で傘さしてるってこと?どうやって現れるんだろ。

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