第6話

慌てて食堂を出て、外へ。


「もしもし?」


「あ、仕事中にごめん」


「ううん、大丈夫。休憩時間だから」


「ならよかった。今日、仕事何時まで?」


「…だいたい、19時だと思う」


「わかった。資材買いにそっちのほう行くから、駅で待ち合わせていい?」


「え、いいの?」


「いいよ」


「なんで、電話…なの?」


「え?文章だとめんどくさくなった」


なんでか自信満々に言う。面白いんだから。


「また後で」


「うん」


…電話してくるとは思ってなかった。わー、声聞けた。耳元で私だけにしゃべってると思うだけで嬉しい。元気出てきた。


仕事に戻り、なかなか終わらない課題作成に取り掛かる。前期のテストまでにやらないとだけど、作ったこともない。准教授は論文で忙しいし、助教は授業でしょ?他に頼めるのは以原教授なんだけど頼めないし…。やることが、山積みになっていく。

気分転換に、自販機でコーヒーを買うことにした。


「あ、美作教授」


う、同期で他の研究室の准教授と会ってしまうとは。わざとらしく教授なんて言ってるし。


「はい、なにか」


「以原教授戻ってきたらしいですね?美作教授はもう居場所なくなるんじゃないですか?」


笑ってる。


「教授はお手伝い…だそうです」


「そんなのすぐ飽きますよ?」

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