第3話

「つまり、年に一回くらいしか会ってない?」


「え…そう…ですね」


嘘だ。同窓会以降会ってない。会ってもなにを話せばいいんだろう…。


「毎日連絡取ったりしてる?」


「はい」


「そっか〜遠距離を楽しんでるんだね」


「そうです」


楽しむなんて…どういう人かもそもそも知らない。そろばん教室やってるくらいしか情報はない。だって、人に勧められて付き合ったんだから。


「絵里ちゃん!聞いた?亮介に彼女いるらしいよ?」


今度は座長の安菜あんなさんがやってきて大騒ぎした。


「…いえ、知らなかったです」


「…そう…かわいそうに…あの男…許さない。私のことはどうでもいいって?」


なにかの役になりきってるようだ。


「なんてやつなの!浮気なんて!」


「安菜さん、違いますよー。もう別れてますよ?」


美香さんはへらへら笑いながらそう答えた。


「あ、ごめんなさい。私ったら。あ、そうだ。絵里ちゃんにはかっこいい彼氏がいるんだったわね。忘れてた〜」


安菜さんは今度はクルクル回りはじめた。


「2人は〜夢の世界〜」


踊り出した。なにかの世界観に入ってるようだ。


「絵里ちゃん、安菜さんはほっといて、発声練習しよう」


…浮気。そんな理由で別れたんじゃない。


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