心の眼 灼きつけてのち ストロボで

『心の 灼きつけてのち ストロボで』

   桃もちみいか作




 ――運動会の一幕――

【ある父娘おやこの一日の物語】


 まずは今日頑張る君を、それから目の前に広がる景色を、自分の瞳で実際に見たい。


 輝く君の一瞬一瞬を逃したくない、記憶を思い出を残したい思い。

 シャッターチャンスを覗うファインダー越しだと、なんだかちゃんと「本当」を見れてない気がして。


 たまに、カメラから目をはずして、運動会で頑張る愛娘を見つめる。


「がんばれ〜!!」


 娘は徒競走でビリだけど、そんなの関係ない。

 順位なんてどうでも良い。


 おれは娘の頑張って走る姿にうるうるしてきてしまう。


 応援に夢中になっているうちに、肝心の娘のゴールした瞬間や感動シーンの写真を取り忘れるおれ


 毎年、繰り返している気もしないでもない……。

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