④
*
やがてがたがたと引き戸が開けられ、佐々木がお堂に入ってきた。
寄りそう僕たちを見るなり、心底ほっとしたように表情を緩め、
「よく頑張ったな」
焚きしめたお香の清浄な香りに、僕は安堵のあまり気を失いそうになった。茜も
佐々木の後ろから飯田がそっと顔を覗かせた。
「ついさっき連絡が来てね。君たちの友達――中野くんと国生さん、正気を取り戻したそうだよ。イスルギさんが、君たちに伝えてくれって」
僕は呆然と飯田を見つめた。たちまち、喉から熱いものが込み上る。
その時、横で茜が緊張の糸が切れたように声を上げて泣き出した。
あの鋼メンタルの茜が子供のように泣くさまに、僕は驚きのあまり涙が引っ込んでしまった。
佐々木はすっと厳しい顔に戻ると、立ち上がった。
「君たちにはもう少し頑張ってもらわなけりゃならん。奴が戻る前に縁切りを済ませねばならんからな。その前にご飯を食べて、湯に浸かって身を清めるといい」
お風呂、沸かしてあるからと飯田が微笑んだ。
僕と茜は言葉も出ず、頭を下げた。そこでやっと、心の底から安堵したのだった。
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