第二話 忌み地

 知らない番号から電話がきて、不審に思いながらも出てみると三ツ橋だった。

 足を踏み入れたばかりの大学購買の店舗からわざわざ外に引き返し、スマートフォンの通話をタップしたことをたちまち後悔する。

「イスルギさんからバイトの募集が来てさぁ。間宮にも声かけろって言われて」

 三ツ橋は悪びれない口調で言った。

 前回、僕をあんな酷い目に遭わせておきながら――あまりのふてぶてしさに開いた口が塞がらなかった。

 アルバイトの内容、彼は本当に知らなかったのだろうか。

 そしてなぜ僕の電話番号を知っているのか。教えた記憶はない。

 三ツ橋は日時と場所を伝えると、「詳細はイスルギさんに聞いて」と一方的に通話を切ってしまった。

 僕はまだ、そのアルバイトを請けるとも言っていないのに。

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