13話 ジェンガ。

季節は冬となって寒い日が続く中今日も空太と練習しにいく。

朝起きてシャワーを浴びて歯を磨きゴロゴロして昼飯を食べて夢愛達の家に行く

これがここ4ヶ月の生活習慣になっていた。すごく楽しい時間だった。

それがこれからも続くと思っていた。


「蒼介ちょっと大事なことがあーる」



空太が真剣な顔をして俺になにか話すことは珍しい。無駄に緊張感が走る。

時計の秒針の音がはっきり聞こえるぐらい静かな空間に鳴った。



「なにさそんな真剣な顔しちゃって」



空太がなにを言いたいのか気づいてしまった。いや前々から薄々気づいていた。

でも俺たちはどこかで思っていた、自分の気持ちに気づいてはいけないこと。

自分の気持ちを見てみぬふりをしていたんだろう。気づかないふりを。

気づいたら今の関係が崩れてしまうんではないか。口にしてしまったらこの楽しい

毎日が壊れていくんじゃないか。それを踏まえて空太は言ってくるんだと思った。



「俺さ...瑠衣ちゃん好きになっちゃったよ笑!」



やっぱりそうだった。これを確信にしてしまったからには俺がみんなとこれからの

関わり方に気を使ってしまうようになるだけ正直そんなに聞きたくはなかった。

なぜならライブまであと1週間もないからだ。


「うん、まぁそうだよね。うん何となくわかってたよ」



「え、まじそんなに俺ってわかりやすいかな?」



「いや俺がすごいだけだから」



これが親友ってやつか。誇らしいな。そんなこと言ってられない今後の関わり方

どうしよう気使ったら空太なんか言うだろうしだからといって...うーん...。

人間関係ってとっても難しいと思う。築いていくのは難しい。実際俺と空太があの

2人と普通に接せるようになったの少々時間がかかった。でも崩れるときは一瞬

だろう。みんなに気を使い誰かに気を使っていることがバレたらもう普段どおりには

戻れなくなるだろうなんで気を使っているのかーなんて問い詰められたら隠し通せる

自信はない。つまり俺からしたら人間関係はジェンガだ。



「だからといってお前気を使う気だろ?普段通りにしてもらなわないと困るから!」



「わかったわかった使わないから」



これもバレていた。多分気を使っていてもすぐにバレるだろう。


こうして今日もバンドに行った。俺は今まで通り接することを決めた。





そうして夢愛達の家についた。




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