12話 ごめん。

家につくと早速みんな練習を始めた。みんな昔やっていたということだけあって

きれいな音が聞こえてくる。俺も練習を始めた。だが集中しようともできないみんなは真面目に練習しているのに俺だけたかがちっぽけな理由で手を付けれないなんて

ますます自分が情けなく感じてくる。そんな事を考えていたらもうみんな練習を終えて帰る準備をしていた。時の流れはこんなに早かったのだろうか。そう思えるほどに一瞬の時間となり、それほど考え込んでしまっていたんだろうか。



「おーい蒼介ー?何ボーッとしてんだ帰る準備しろよ」



「あぁ悪いちょっと考え事してて。今準備する。」



先に準備を終えた空太はもう外に出て待っていた。

俺も早く帰ろうと準備を終わらせ、ドアノブに手をかけた時。手を掴まれた。



「蒼介待って。」



振り返ると夢愛が下をむきながら俺の腕を掴んでいた。



「どうした?夢愛」



そう聞くと勢いよくこっちに顔を上げた。頬を赤らめながら、


「蒼介この間のことごめんね。なんか変なこと言っちゃったかも。笑

なんにもないから気にしないでね!!ごめんそれだけだよ!本当に、ごめん。」


と言った。俺はうんと言ってその日は帰った。



「たーだいまー!」



「お前なんでそんなに元気なの。」



「なんでだろーう笑わかんない笑」


半日出かけて更にギターを引いていてなんでこんなに元気なのかが不思議で仕方ない

そのぐらいの声を出してくるからこっちまで疲れてくる。



風呂を出てベットで横になりスマホをいじっていると空太がなにか言いたげにしている感じでこっちを見てくる。


「なにさ」



「いやーお前なんかあった?」



「え?なんで急に。」



「いや最近ずっと顔に書いてあるよ?僕何か抱えてますって笑」



なんですぐにバレるんだろう。顔にはあんまり出ないタイプなのに空太にはバレる。

これが親友と言うやつなんだろうか。まぁ今はもう解決したからいいのだけど。


「いや何もないよ。笑」



「そっかーなんかあるなら言ってねー」



本当に空太は優しいな。いつもふざけているしうるさいけどしっかり周りを見ていて

いつも他人を気にかけてる。中学の時もそうだった。昔。からそうだった。はず。



そしてその日は終わった。それから数週間俺と空太は毎日ペースで夢愛たちの家に

バンドの練習をしに行った。気まずさはとっくに消えていた。バンドもだいぶ様になったきてみんなやる気で満ち溢れている。楽しい時期的なやつに入ってる。



「ねぇねぇみんなーそろそろライブしてみない?私の知り合いの人でライブ関係の裏方的な人がいるんでけどその人がよかったら1回ぐらいやってみないかって」



「なにそれやってみたい!空太とそっけは?」



「人前でとかそんなに得意じゃないんだけど...」



「はーいごちゃごちゃいいから俺らもやってみたい!」



勝手に決められた。どうやらそのライブとやらは4ヶ月後にやるらしい。




それから俺らはライブが決まってからほぼ毎日夢愛たちの家に行った。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る