令和5年冬のまつだい&松之山温泉行き(その2)

『凌雲閣』に着いたのは13時前だった。そこに『温泉むすめ』松之山棚美嬢はいない。建物は昭和一桁生まれで複数名の宮大工が携わったという。


棚美なき 昭和の旅館 訪ねたる 歩きて寒し 松之山の地


この歌は旅館で詠んだだろうか。松之山温泉街に着いたのは辞して10分も経たないうちだった。

ここ松之山温泉は草津や有馬と並ぶ『三大薬湯』に列せられ、泉質はナトリウムとカルシウムの塩化物泉であり、元を糺せば太古の海水である。源泉の湯温は90℃台で、効能は切り傷、火傷、慢性皮膚炎、虚弱児童、慢性婦人病、の他、神経痛、関節痛、筋肉痛、五十肩、慢性消化器病、冷え性、疲労回復、建康増進等に効き、飲用すれば慢性の便秘に効き得るという。

温泉街の奥に湯櫓があり湯櫓の奥に不動滝がある。不動滝より高位置にサンティアゴ・シエラ氏の『ブラックシンボル』があり、黒い牛の形をしている。

不動滝から道路を挟んで反対側に薬師堂があり、そこは1月15日、棚美嬢の誕生日に婿投げと炭塗りが行われる。

いくらか時間調整をして『山の森のホテル ふくずみ』を下見してみる。

東山温泉の『御宿東鳳』のときはロビーで徹底ガードされていたので、館内を見せてもらうのは初めてである。

ここで宿側に『何が見たいか』と、訊かれてH氏は『部屋と風呂を見せてくれ』と言う。そのため4階の部屋から見せてもらった。ただ、飽くまでも宿側から下見の許可を取った上である。

4階の部屋はベッドの他、内風呂とテーブルが支度されている。基本的に和室であってもベッドを支度しており、部屋の狭さは否めない。貸切露天風呂は内線電話で頼めば30分だけ使わせてくれるという。予約は5か月前から可能で、食堂は2階、浴場は1階だった。その浴場が極めて狭い。


次に寄ったのは棚美嬢を下げた『和泉屋』でスマホとiPodを落とし、H氏に叱られて腹を立てる。ここでの蟠りが大分尾を引く。

ここ、『和泉屋』は5室限りの小さな宿で、客室と浴場は2階、食卓は1階である。和室だがベッドの部屋で、二間構成の部屋は平日価格で1万9千950円とと高くつく。浴槽は東から『元湯』、『翠湯』と半露天が続き、『双湯』、『古湯』と内風呂を経て露天風呂の『野湯』へ至る。H女史は『伊香保の群馬大研修所に似ている』と言っていた。


2次元の 妻を下げさせ 宿へ入る 『落ち葉ぞ』『狭し』 ダメ出し続く


令和4年の11月26日に次元局から婚姻を担保してもらった二次元妻は『画面の中』で控えさせている。そしてこのまま美人林へ向かう。


美人林はブナが直立して見栄えが良いのでその名が付いた。蟠りが濃く、負の感情が巡っているのでここでも『爆発』する。そして雨が降った後なので、地面はぬかるんでいる。ここは判り難いので『山の学校キョロロ』を指して車を進めた。関東から来た貸切バスまでいる。


とときんの 故国に立ちし 白神の ブナに似たるか 松之山のブナ


『デレマス』の十時愛梨女史は秋田県から来た。ブナから転じて白神山地を想い起し、初代シンデレラガールを引き出したわけである。


一旦戻って『凌雲閣』を掠めた後、松之山のバス停前にてH夫妻と別れる。

ここから松之山の温泉街を歩き、『野本旅館』を指すが、玄関の前に着いたときに時間調整がてら『十一屋商店』へ寄る。店内には棚美嬢がおり、『温泉むすめ』用語で言うところの『奉納』こと日本内外のあちこちで買われて捧げられた『温泉むすめ』アイテムが棚の広い範囲を抑えていた。『野本旅館』でチェックインしたのは15時頃だった。

『煙草を吸うか』と受付係氏に訊かれ、『吸いません』と応える。この旅館は玄関に入り次第、棚美嬢から迎えられる。指定された部屋は3階階段脇の301号室『椿』で部屋の愛称も風流だが、愛すべき昭和の旅館である。

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