マッサージ
ローレルは部屋のベッドに横たわり、休んでいた。リベリアと一緒に入浴し、その後に夕食のピザを食べた。
空腹も満たされて、動く必要もない。眠って、明日に備えるだけだ。瞳を閉じて意識を沈めようとしたところに、ノック音が響いた。
「失礼します」
部屋に入ってきたのはリベリアだった。元々ここはリベリアの部屋だ。入られても何の問題もない。
「お時間、よろしいでしょうか」
すぐに眠りたい気分だったが、こらえた。
「大丈夫だが」
「もしよろしければマッサージでも、と。うつ伏せになっていただけますか」
「なんだか悪いな」
「お気になさらず。私がしたくてしておりますので」
「ありがとう」
言われた通りにうつ伏せになる。リベリアはローレルのすぐそばまで来ると、両手を肩においてきた。
「痛かったりしたら、遠慮なくおっしゃってください」
「わかった」
「では、軽く背中を擦りますんで」
宣言通り、リベリアは両手を使って背中を押すように擦っていく。優しい圧迫感が心地良かった。背骨にそって背中を、首の付け根、肩甲骨、と円を描くように撫でていく。
「どこを重点的にしてほしいですか」
「特に、そういうのはないな」
「では全身を満遍なく」
今度は背中から腰へ。そこから背骨にそって背中を擦っていく作業に戻る。何度も繰り返されているうちに体の後ろが温かくなっていった。
「気持ち、良いな。あったかい」
擦っているだけだというのに、気持ちが良かった。だんだん目蓋が重くなっていく。
「別に寝ても構いませんので、リラックスなさってください」
「あぁ」
リベリアの言葉に甘え、ローレルは目蓋を閉じた。
しばらく同じことを繰り返されていたが、そのうちリベリアの手が止まった。
「次は、首と肩をほぐしていきますんで。苦しくなったりしたらおっしゃってください、力弱めますので」
首の後ろに、リベリアの手の平が置かれる。手の平と指が使われ、首全体が揉まれる。特に親指で首の後ろを押されるのが心地良かった。これが数回行われた。
「右肩、やりますからね」
首から手を離したリベリアは、首の付け根から右肩にかけてを両手の平で押していく。
ぐっ、ぐっ、と。
適度に体重をかけて肩が圧迫される。手の平の下部辺りで優しく何度もされる。肩の筋肉がほぐされている感覚がした。
「んっ……」
あまりの気持ち良さに、思わず息が漏れてしまう。
「指圧、しますので痛いようでしたらいってください」
今度は指で肩を部分的にほぐされる。肩の肉に、リベリアの指が沈んでいくのが感覚でわかった。少し痛いが、我慢できないほどではない。ちょうどいい痛さだった。
右肩が終われば、左肩も同じような手順でマッサージされていく。
「いたっ」
ところが指圧されたとき、右肩のときよりも痛みを感じた。
「申し訳ございません」
「あ、いや」
「優しくしますね」
先ほどよりも優しく指圧される。それでやっと程よい痛みとなった。
「これで、大丈夫ですか」
「大丈夫……上手いな、リベリアは。何でもできるし」
「何でもはできませんよ、ご主人様やカレジ様のように強くありませんし。それにマッサージなら、ご主人様のほうがお上手なんです」
「そう、なのか。それは、意外……だな」
「次、腰から背中やりますね」
今度は腰を手の平で押されていく。押し伸ばすように、手の場所が腰から背中へと移動して体を程よく圧力がかけられる。筋肉がほぐされ、体を程よく温かくしていた。
「はぁ」
快感がローレルを襲い、眠気をより一層強くさせた。意識が段々、薄れていく。
「おやすみなさいませ、カレジ様」
優しげな声をかけられ、ローレルの意識は眠りへとまどろんでいった。
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