■ Ln06 ■ 枝話:高無彰子 Ⅱ
さておきデスモダスが死んでからの一闘士民ルートの始まりだよ。
「スコアを気にせず寿命死達成までが目的なら、割と楽なのが
なお、
普通に進めたらまずニンファと手を組もうと考えるだろうから、これ完全にシナリオ担当の最後の悪あがきだよ。チッ、愉悦部がよ。
「で、再建開始から最初の二年を何とか超えると魔王が降臨して、アーチェのパートナーに冥槍を授けて腹心の地位に就けてくれるから、ここからは一気に安定してくるのよ」
そうすると、アーチェの、アーチェによる魔王国再建が軌道に乗り始めて、
「んで、アーチェが死んだ時点で魔王国がどれだけ再建されてたかでスコアが付くのよ。今汚部屋はこの点数勝負で話が持ちきりってわけ」
「……バッドエンドの後味をよくするために付け加えたミニゲームが、逆に正規ルート食っちゃってるんだ」
「うん。だってこれ無茶苦茶楽しいって言うか――これだけで一つのゲームとして売っていいレベルなんだもん」
このミニゲームがホント楽しくてさ、十二人いる一闘士民の誰と手を組むかで国の立て直し方が全然違ってくるし。
どちらかと言うと序盤の難易度緩めな
ワミーは高齢で、序盤は影響力あってめっちゃ有利だけど、魔王降臨後は寿命で早くに死んじゃってパートナーが影響力皆無な孫娘ルミナになるし、ベルドレッドは脳筋で自分で考えないし。オーネストは公平でいようとするあまり、極端な政策に反対してくるし。
「今のところ最高スコア出せてるのは
一闘士民ラキシュ・シアトリクは政治的には無能で序盤の難易度がふざけんなってほどに高いけど、文化に興味がある数少ない一闘士民だからね。
彼女と組んで、十ある
ただ相棒のラキシュの政治、統治が最低だから、その最高スコアを出す前には数多のゲームオーバーでアーチェが屍をさらし、プレーヤーに幾多の悲鳴を上げさせたわけだけど。というかお祈りポイント多すぎて、未だに攻略を安定させることがどのプレーヤーにもできてない鬼畜っぷりだからね、ラキシュルート。
ただラキシュルートは女の親友ルートということもあって、このルートは割と人気だ。恋愛にはならないんだけどね。
「スコアを抜きにしても、十二人いる一闘士民毎に独自のストーリーが展開されるわけよ。これ始めたら終わらないわ、止め時が分からなくなるの」
「十二回周回しても飽きない、ってことか」
夫の言に、ほろ○いの缶を傾けながら頷いてみせる。
「それどころか、一闘士民毎にも何の再建から着手するかで魔王国環境は徹底的に変わってくからね。正直全ルート完全制覇とか難しいんじゃないかな」
国土再建の進め方も無数にあるから、一闘士民を一人一回選んだだけでは全然ストーリーを消化できない。復興段階によって無数に分裂していく。
正直一体どういうフラグ管理してるのか、今汚部屋が総動員で検証に当たっているってレベルよ。マジでこの魔王国再建ミニゲーム、底が深すぎる。
「ついでにデスモダスとの娘であるアイシャってカードをどう切るかでも随分変わってくるし」
いっちゃんアーチェの寿命死が安定するのは娘アイシャを魔王に嫁がせることなんだけど、これやっちゃうとあんまりスコア伸びないんで、とにかくアーチェを寿命まで生き延びさせたい新人にのみお勧めの選択肢とされている。
アイシャはアイシャで別の影響力拡大に使った方が広範囲に根を張れるから、そっちの方が発展性があるのよねぇ。政治だよ、本当に。
「ニンファルートと
スターベルルートはロリ向け百合でニンファはお姉さん系百合だね。
ランディは俺様系イケメンルート(仮面最後まで外さないからイケメンじゃないかもだけど)で、ニールは実力はあるけど捨て鉢な無気力系イケメンの立ち直りルート。ファディは頼りになるダンディおじ様ルートだ。
この五ルートには最高スコアは期待できないけど、『この手に貴方の輝きを』本編に近い正規の恋愛ゲーっぽくて、プレイする人は結構多い。汚部屋ではルートごとのスコア競いも人気だしね。
「
「……それちょっとえぐくない?」
「うん。なんでウォブルート入る人はあんまりいない。戦略シミュレーションとしては結構面白いんだけど」
ウォブと
なお、無駄に戦意が高い
ただオプネスと組むと大半の一闘士民が死ぬけどね。主にオプネスに殺されて。
「それもちょっとえぐいね」
「うん。全ルートに手を出し始めると魔王国に愛着湧いちゃうからさ、オプネスルートはサイコだって避ける人も多い」
ついでに言えばオプネスは刹那的思考だからスコアもあんまり出ないしね。やっぱ国の再建には建設的な思考が必要だよ。
「そう言えば、十二人の中にショタがいないのによく彰ちゃんゲーム周回できているね」
「うんだって魔王がショタだから」
「あ、そういう……」
そう、どの一闘士民を選んでも登場する魔王がショタなので、私としては幸せ絶好調よ!
唯一残念なことは減衰と死を司る冥属性であるせいか、
さておき、
「魔王国再建バッドルートに入ると本編の魔王であるニクスが出てこないのよねー」
本来、『この手に貴方の輝きを』で登場する第九十三代魔王はニクスの筈なんだけど、このルート入ると何故かこのニクスは影も形もないという始末だ。
汚部屋では
「まぁ私はニクス推しじゃないからどうでもいいんだけど。それにこっちのルートが楽しすぎて止め時が分からないし」
「繰り返しになるけど程々にしておきなよ? 身体壊しちゃ元も子もないんだからさ」
「分かってる分かってる。じゃあゲームはこの辺にしておいて、今晩一発ヤらない?」
「彰ちゃん、聞き方が親父臭い」
「なにぉー!?」
グビッとほろ○いを飲み干して、口論しながら夫と二人でベッドインだ。
ま、リアルの生活も大切にしなきゃだもんね。三十になるまでは子供は要らないけどさ。
……いや、この魔王国再建編の序盤見てるとどうにもね。だってアーチェ十五歳でデスモダスとの子供産んで、そこから苦難の生活だし。
改めて文字にするとやっぱりこれバッドエンドだよなぁ。やっぱバッドはバッドで人気出さず嫌われるエンドにしておいた方が良かったのかもね。
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