■ EX22 ■ 閑話:アルヴィオス・カレッジ・タイムズ
学園生各位
神歴1282年 6月 3日 発行
新聞部副部長
アーチェ・アンティマスク
アルヴィオス・カレッジ・タイムズ創刊のご挨拶
学園生の皆様始めまして。この度学園新聞部編集長兼副部長に就任しましたアーチェ・アンティマスクです。宜しくお願いします。
我々新聞部一同は皆さんの学園生活をより良いものとするための情報紙として、本日このアルヴィオス・カレッジ・タイムズを創刊致しました。
皆様の生活における話題、興味、期待の足掛かりとなれるよう部員一同様々な情報を発信していきたいと考えていますので、どうかご一読頂ければ幸いです。
さて記念すべき第一号の目玉情報と致しましてですが、この度アルヴィオス王国の今後を担う王子の婚約者両名に王太子妃候補としてのあるべき姿を個別にインタビューしてまいりました。
果たしてどちらが未来の王太子妃に相応しいのか、仰ぐに足る資質はどちらが備えているのか。否、そういう難しいことはさておいてどっちが自分の好みに適合するのか。
此度の記事が皆さんの『推し』を定める一助を担えればこれに勝る喜びはございません。
それでは、以下王国の双華たる両名の在り方をご確認下さい。
第一回王太子妃候補者インタビュー
※以下敬称略。ウィンティ・オウランを甲、ミスティ・エミネンシアを乙として記載する。
質問1:現在のアルヴィオス王国をどうお感じになっていますか。
甲:食糧生産は微増を続け、大きな領地間の諍いもなし。国王陛下や王妃殿下、並びに二百諸侯の尽力により平和が保たれていることに深く感謝しております。
乙:平和で良いと思います。
質問2:現在のアルヴィオス王国において解決すべき問題として最初に思い当たることは何でしょうか。
甲:ワルトラントが国是を振りかざす以上、難民の流入と定住を如何にして阻止すべきかが課題かと存じます。
乙:官位に伴う職務の内容と向き不向きの不一致、ですかね。演習を見て少し感じました。
質問3:アルヴィオス王国の発展のためには何が必要とお考えでしょうか。
甲:平等な法制度と適切な税率。それが維持されるよう国の上層部が知見に優れた者たちで堅められることです。優秀な能力を持つ者たちを正当に評価する仕組みを充実させることですね。
乙:経験と能力に寄らずして多大な責任を負わされた方たちを支援する仕組み、でしょうか。
質問4:門閥貴族の爵位が長く固定されている現状についてどう思われますか。
甲:特に問題ありません。領主が度々入れ替わって方針が左右することで困るのは常に弱き民草ですから。社会の安定により民の生活が安定することこそ国の幸せです。
乙:初代国王陛下の元、戦功で決まったものですし……ちょっとすぐには答えられません。
質問5:平和が続いている王国の現状ですが、能力に従って武官位が与えられていると思いますか。
甲:実績に対して、という意味では適切かと。ただ能力まで加味しての検討となると改善の余地が残されているように思えます。
乙:先に触れてしまいましたが、個人の資質や向き不向きはあまり配慮されてないかな、とは思います。
質問6:王国の防衛戦力は適切に維持配備されていると思いますか。
甲:そうですね……南部は男爵領が多く守りは実質リオロンゴの川幅頼りのため、有事には王都の部隊を迅速に派兵する仕組みが必要だと思います。
乙:騎士団の練度が部隊によりまちまちなのは少し気になります。
質問7:周辺各国に対して一言思うところを述べて下さい。
甲:自国の民は自国で面倒を見て欲しいものです。
乙:北の魔王国の情報が全然ないのがちょっと恐いです。
質問8:王妃になったら何に注力していきたいとお考えでしょうか。
甲:国王陛下をお支えしつつ、優秀な人材への正当な評価、また対外貿易に力を入れ、より豊かな国作りを目指したいと考えています。
乙:国にもっと笑顔が広がるよう頑張りたいです。
質問9:学園のここは改善すべきという点を述べて下さい。
甲:教師たちが授業より己の研究を優先しがちな点ですね。あと優秀な学生への贔屓が目立ちます。もう少し全体の底上げにも関心を持って頂きたいと願わずにはいられません。
乙:ちょっと警備がザル……いえ何でも無いです。皆さん自衛に留意しましょう。
質問10:王立魔術研究室から予算の追加請求がたびたび出ていますが、予算は増やすべきでしょうか。またその場合の財源は?
甲:必要な資金は研究成果で賄うべきものかと。それが競争と発展の礎というものではないでしょうか。
乙:各貴族家が興味ある研究に資金援助すれば……そうすると必要だけど稼げない研究に誰も取り組まなくなりますね。そこは国が支援するべきだけど財源は……難しいですね。
質問11:婚約者のアピールをお願いします。
甲:公平にして明大、先を見通す目をお持ちの国王に相応しい御方です。(周囲から溜息)
乙:強くて真面目で優しくて凜々しくて、ええと、その、素敵な方です。(周囲から溜息)
質問12:婚約者との馴れ初めを教えて下さい。
甲:五歳の時の私の誕生会で、その際に婚約を打診されました。(周囲から多大なる溜息)
乙:殿下の五歳を祝う誕生会で迷子の私を灌木迷路から連れ出してくれたのみならず、落としたリボンまで一緒に探して下さいました。あの日からずっとルイセント殿下をお慕いしております。
質問13:婚約者のどこを愛していらっしゃいますか。
甲:国のことを第一に考えている真摯な態度――何かしらリトリー。え、ダメ? (長いダメ出しを省略) ど、努力する私の姿が美しいと仰って下さったことです、これでいいですか!
乙:至らない私を常に慮って下さいますし、命にかえても私を守ると仰って……なので私もこの命にかえてもルイセント殿下をお守りする所存です。
質問14:婚約者との思い出に残っている出来事を教えて下さい。
甲:ええと、馬車で二人で(以下公序良俗に鑑みて削除)
乙:あれは月の輝く夜の事で(以下公序良俗に鑑みて削除)
ご読了ありがとうございました。
追記、オウラン公爵令嬢が振る舞って下さったポモナ領産のジャムがとても美味しかったです。この場を借りて御礼申し上げます。(アーチェ)
以上
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます