第3話

 この学校で事件が多発しているとは言っても、連日騒ぎが起きているわけではない。週に一度、もしくはそれ以上の間隔を空けて、誰かしらの宿主が転生士に支配されている。同じ場所であると考えれば異常な頻度だが、それでも真信乃が暇を持て余す時間は長いと分かりきっていた。それ故、上司は彼に中学二年生の問題集を何冊も渡していた。


「何ですか、これは」


 問題集の山をデスクに置かれ、真信乃は不満げに上司を睨み上げた。国数英理社、全て勢揃いしている。レベル別にも分かれており、その量も半端なものじゃなかった。


「常駐したら暇な時間多いだろうから、勉強でもしとけ」

「中学生以下の正団員は、出席日数や学力に問わず義務教育課程を修了できるはずですが?」

「馬鹿だと示しがつかないだろ。そもそも、中学生以下の正団員なんていない前提で作られた制度だし」

「オレがその前提を覆してしまったってことですね?」

「残念ながら、お前よりも前に中学生で正団員になった奴がいる」

「チッ」

「ま、最速最年少記録はお前のもんだけどな。とりあえず納期は一ヶ月な」

「はっ……この量を!?」


 無理だと真信乃は即座に抗議したが、上司は「頑張れ〜」とだけ言って立ち去った。こんなのパワハラだと怒鳴って追いかけるものの、「団長命令だ。嫌ならクビだとさ」と一喝されて追い返されてしまった。騎士団本部の廊下で拳を震わせながら、女といちゃつく男を思い浮かべ、真信乃は衝動のままに怒りを叫んだ。


「あんのくそスケベ野郎ーっ!」


 ―――そんな経緯もあり、真信乃は晴天の下、学校の屋上で問題集と格闘していた。

 事件を起こす犯人を自ら捜すことも考えていたが、すぐに無理だと真信乃は悟った。怪しい生徒も教師もいなければ、部外者が侵入した形跡もない。約半数の生徒が魔導士であり、その全員をマークし続けることも不可能だ。

 そうなれば、事件が起こってから対処するしかない。犯人がいると分かっていながら受け身になるのは癪だったが、真信乃にはそれ以外の方法が思い付かなかった。

 編入してから暇を持て余して一週間、真信乃は真面目に勉学に励んでいた。そのはずなのに、進んだのはたったの三ページ、しかも数学のみである。初級問題のはずなのに、真信乃はなかなか理解することができなかった。


「点(1,2)を通り、傾き3の式を書け? 傾きって何だっけ……えーっと……」


 解説を見返しては解くを繰り返しているため、あっという間に時が過ぎてしまう。それでもクラスメイトに頼らないのは、真信乃の思春期ならではの反抗心からだった。教室で取り組まないのもその理由故だ。最も、授業の声がうるさくて集中できないことも一因ではあるが。


「あーもうっ! やめたやめたっ!」


 木刀で模擬戦をしていた田口と、同じく訓練生の二岡雫が真信乃に振り向いた。床に寝そべった彼に近寄り、呆然と空を見上げる顔を見下ろす。


「神崎君、またやめちゃったんですか?」

「なんだよ。そう言う田口も勝手に訓練中断してるだろ」

「神崎君が心配になって来たんですよ!」

「心配される筋合いはない。ほら、早く再開しろ」

「いや、少し休憩します。疲れちゃった」


 二岡がペットボトルの水を飲み、真信乃の隣に座った。田口も水を飲み干し、問題集をぺらぺらめくる。


「神崎君、俺が教えましょうか?」

「いい。いらない」

「でもこのままじゃ、いつまで経っても進みませんよ?」

「そんなことない! あと少し勉強すればスラスラ解けるようになる!」

「そう言って一週間経ってるけど……」


 ぼそりと呟いた田口の言葉は、運良く真信乃の耳には届かなかった。

 初めは訓練生の面倒など見ないと主張していた真信乃だったが、ありあまった時間を一人で過ごすのもつまらず、勉強も捗らず、消去法的に彼らの願いを聞き入れることにした。もちろん基本は放課後だが、田口と二岡に関しては、こうして授業中にも監督していることがある。その理由は、至って単純だった。


「真信乃君、意地張ってないで学年一位と二位に教えてもらえばいいのに」


 二人は、毎回のテストで一位二位を独占する秀才だからだ。

 この学校で出席日数は意味を持たない。赤点はもちろん、進級条件も卒業条件も、全てテストの結果で算出される。その分、テストの難易度は相当高く、まず授業を受けないと通らないようなものとなっている。

 しかし二人は、多少授業をサボったところで何ら支障ない学力を有していた。特に二岡は全国模試でも上位に食い込むほど頭が良く、訓練生をクビになったら女医になろうと本気で考え、そして「それが妥当だ」と評価されるほどだった。


「あたし、教えるの上手いってよく言われるんだよ」

「だからいらない。上手い下手とかいう話じゃないから」

「教わったら勉強好きになるかもよ?」

「そんなの絶対ありえないから!」

「そんなことないと思うけどなあ」


 真信乃に睨まれながら二岡は立ち、田口を呼んで訓練を再開した。

 頭の良い二人だが、騎士団員としては底辺に近い。魔法も使えないため、仮に正団員になれたとしても、事務や支援役に回されるだろう。それでも真面目に訓練に励む姿を見て、真信乃は見捨てずに拾ってやろうと次第に思い始めていた。


「田口! もっとよく相手を見ろ! 適当に振るな!」

「はい!」

「二岡! 手を止めるな! 実戦だったら死んでるぞ!」

「はい!」


 木刀の交わる音と真信乃の叱咤が響き渡る。しばらく訓練を監督していると、着信音が耳元で小さく鳴った。二人から少し離れ、インカムの応答ボタンを押し、ブレザーに装着したマイクを口元に近付ける。


「はい、神崎ですが」

「あっ! 真信乃! あたしだよ!」


 声の主が特定できると、真信乃は呆れたようにため息を吐いた。


「なんだ執月か。どうせ大した用じゃないんだろ?」

「大した用だよー! 真信乃、最近本部に来てくれないじゃん!」

「それこそ、用がないからな」

「ひどおいー! あたしに会いに来てよー!」

「なんで」

「あたしが会いたいから!」

「オレは特に会いたくないんだけど」

「ひどいよー!」


 耳元で響く執月の嘆きを、真信乃はうんざりしたような声色で遮った。


「あのな、インカムを私的利用するなって言ったよな? これで何回目だ?」

「だってえー! 真信乃の声聞きたいんだもん!」

「それが私的利用だって言ってんだよ。お前、前の配属先でもそうだったのか?」

「違うよ! 真信乃にだけ! あたしは真信乃一筋だから!」

「そのせいでオレの通話ログまでチェックされたんだが」

「あー四月の話? あれはひどかったよね! 真信乃と喋っただけでインカム没収してさ!」

「そりゃ配属初日から毎日毎日一人にかけ続けてたら怪しむだろ! しかも就業時間中に! オレもサボってるのかって疑われたんだぞ!」

「ひどい! やっぱり監査連中を告発しようよ! 不正処罰してるって!」

「全くもって正当だ! もう切るぞ!」

「ああっ待って待って! 真面目な話!」


 終了ボタンに手をかけたまま、真信乃はスピーカーからの音に集中した。一段トーンが落ち、年相応の大人びた女の声が響く。


「真信乃、変なやつに付き纏われてない?」

「変なやつ?」

「生徒でも教師でも。真信乃、十四歳でしょ? 年下だからって気安く近付いてきたりするやつ、いない?」

「年下だからではないが……まあ、付き纏われてるな」

「えっ誰に!?」


 食い気味な執月の反応が、真信乃にはよく分からなかった。誰、なんて言っても、彼女とは一切面識がないのだから。


「それ、言う必要あるか?」

「あるよ! 誰?」

「誰って………訓練生だよ」

「訓練生? 訓練生が真信乃に付き纏ってるの?」

「それを知ってどうするんだ? お前は教官でもないのに」


 執月は答えなかった。何か考え込むようにぶつぶつと呟き、唐突に通話を切った。あまりの身勝手な行動に、真信乃は相変わらずだとため息を吐いた。


「神崎君?」

「ああ、何でもなかった。同僚の暇つぶしだよ」


 不安そうにしていた二人を安心させ、訓練を再開させる。

 能条のうじょう執月とは、今年度からの付き合いだ。彼女が別支部から本部に配属され、必然的に真信乃と同僚になった。そして彼女は、真信乃に絡むようになったのだ。

 特に何かした覚えはない。共に転生士と戦っただけだ。それなのに他の者には目もくれず、自分よりも六つも年下の真信乃に懐いていた。

 何故なのかと不思議だったが、真信乃はもう今更どうにかしようとは思わなかった。適当にあしらえばいい―――それが最もコスパの良い対処法であることに、彼は早々に気が付いた。仲斗に付き纏われている故だったが、やつのおかげだとは思いたくないと、真信乃は真実を受け入れずにいた。


「―――あっ!」


 木刀の音に混じって、第三者の声が聞こえた。田口と二岡は思わず手が止まり、同じ方を向く。真信乃の視線も同様に、屋上の出入り口へ向けられた。今は授業中なのに、一体どんなやつがサボりに来たのやら―――その姿を確認した瞬間、真信乃の全身が硬直した。


「真信乃おー! やっぱりいた! まさかここで会うとはなあ!」


 非常に愉快な声を上げて近付いてくる男子生徒―――真信乃は反射的に後退した。端のフェンスに背をぶつけ、何度も瞬きして凝視する。


「なっ……なっ……なっ……!」

「なんだよ。僕の名前忘れたのか? 仲斗だよ。な、か、と!」

「知ってるわっ!」


 混乱する脳でもツッコミは欠かさなかった。仲斗は田口と二岡の間を通り、真信乃のもとへ向かう。迫りくる存在がまるで信じられなかったが、真信乃の身体は自然と戦闘態勢を取っていた。


「なんでお前がいるっ!?」

「なんでって、見りゃ分かるだろ」

「こんなところにまでオレの邪魔をしに来たのか!」

「いや、話聞いてるか? この格好見りゃ分かるだろ?」

「格好……?」


 真信乃は改めて仲斗を眺める。だらしないシャツ、ズボンのポケットに手を突っ込み、ブレザーは全開にしている。着こなしはともかく、それらは紛れもなく、この学校の制服だった。真信乃も同じものを着ており、疑いようがなかった。

 彼はようやくそれを認識し―――。


「……………………………せっ生徒っ!?」

「そうだよ。真信乃は理解するのが遅いなー」

「りっ……理解できるかっ!」


 真信乃の目の前に仲斗が立ちはだかる。彼との身長差は頭ひとつ分違い、体格も子供と大人のように差がある。真信乃にとって仲斗はずっと年上に見えており、とっくに成人していると思い込んでいた。それ故、まだ高校生である事実に頭が追いつかず、動揺が抑えきれなかった。


「まだ十代……!? 執月よりも年下……!?」

「あ、でも留年したから今年で十九歳」

「十九!? オレとたった五つ違い!?」

「言わなかったっけ?」

「言ってない!」

「そうかあ。ま、でも嬉しいんじゃないのか? 僕とたったの五歳違いで」

「嬉しくないっ!」


 にやにや笑う仲斗に対し、真信乃は頭を抱えた。年齢の衝撃も強かったが、何よりこの学校に在籍しているその事実が厄介でしょうがないからだ。


「なんでよりにもよってここに……! 高校は他にいくらでもあるのに……!」

「いやあー、最近真信乃を見かけなくなったなーって思ってたら、なんかちっさい団員が学校に来たって聞いて……まさかと思って来てみたら! なんでもっと早く教えてくれなかったんだよー! 真信乃がいるなら毎日登校するのに!」

「学生は毎日登校するのが当たり前だろうが! いや……お前は来るな! 留年するほど不真面目ならさっさと退学しろ!」

「嫌に決まってんだろ! これからが楽しいってのに!」

「ああああっ! もう最悪だっ!」


 仲斗を押しのけ、真信乃はそこらを歩き回った。苛立ちを何とか鎮めようとしているのか、しかし険しい表情はなかなか和らがない。


「もっと事前調査しておくべきだった! いやっ……こいつが高校生なんて想像つくか!」

「ちっさい真信乃から見れば、高校生は大人に見えるもんなー」

「うるさいっ!」

「あ、あの……神崎君……」


 田口がおそるおそる声をかける。真信乃はひとまず落ち着こうと深呼吸した。

 ―――仲斗がいるということは、付き纏われる日々が始まるということだ。それは、訓練生の面倒を見ているところに水を差されるということだ。仲斗か訓練生か、どちらを取るかと聞かれれば当然、後者だと答える。一日中前者と過ごすなど、ただの拷問だ。


「………悪い。実はこいつ……」

「神崎君、奥富おくとみ先輩と知り合いなんですか!?」

「は?」


 真信乃は鬼のような形相で田口を睨みつけた。


「こんなやつを先輩なんて呼ぶな。呼び捨てろ」

「真信乃、今の主題はたぶんそこじゃないぞー」

「黙れ、奥富仲斗」

「おー怖くねえー」

「やっぱり知り合いなんですね!」


 田口の目がきらきらと輝いている。二岡は、恋する乙女のように仲斗に見惚れている。二人の態度が信じられず、真信乃は強く目をこすった。


「なっ……!? お前たち、なんて目で見てる!?」

「さすが神崎君です! まさか奥富先輩とこんなに親しくしてるなんて……!」

「親しく!? 今のやり取りを見て親しいと思ったのか!?」

「はい!」

「お前の目は節穴か!?」

「だーかーら、これが傍から見える僕と真信乃の関係なんだって。いい加減素直になれよ、真信乃」

「素直に嫌悪を示してるんだが!?」


 仲斗が近付こうとするが、真信乃は当然逃げた。誰よりも遠くに、しかし離れすぎないように立ち止まり、田口と二岡を凝視する。


「お前たちはなんでこいつに好意的なんだ?」

「俺達だけじゃないですよ! 全校生徒ほとんど、奥富先輩を尊敬してます!」

「仲斗! お前まさか洗脳の魔力持ちだったのか!?」

「そうだったらとっくに転生士消しまくってるぞ」

「じゃあなんだ!? ここの生徒はお前を崇拝する宗教にでも入ってるのか!?」

「真信乃ってこういうところが馬鹿で面白いよなあ。愛すべき馬鹿だよ、真信乃は」

「馬鹿なのはお前だ! 学校乗っ取って何するつもりだ! 今度こそ逮捕する!」

「少し落ち着けよ」

「奥富先輩は天才だから尊敬されてるんです!」


 あまりに予想外な言葉―――テンサイ、の意味を、真信乃は真剣に考えてしまった。


「…………ああ、天災か。なるほど。たしかに天災だ。現れると暴れる、まさに災害」

「そのテンサイじゃないです! 奥富先輩は頭が良いんです!」

「そんなわけないだろ。頭が良い人間は人に迷惑をかけない」

「あれ? 僕の話してたんじゃないのか?」

「紛れもなくお前の話をしてるんだが?」

「僕が迷惑かけたことなんて無いだろ?」

「逆に、迷惑じゃなかったことなんて一度も無いが?」

「奥富先輩は、受けたテスト全て満点を取ってるんです!」


 何を言ってるんだこいつは―――真信乃の表情が一瞬固まったが、嘲笑に早変わりした。


「そんなわけあるか! 留年するほど馬鹿なんだろ?」

「奥富先輩の留年理由は、テストを受けなかったからです!」

「自信が無かったからバックレたんだろ?」

「違いますよ! そもそも! 馬鹿だったら三年にも、それ以前に二年にも進級すらできないんですよ! この学校は! ねっ、奥富先輩!」


 田口にバトンを渡され、仲斗は「まーそーだなー」などと当事者らしからぬ軽い口調で続けた。


「入るのは簡単だけど出るのは難しいで有名だもんな、この学校」

「そうなんですよ! テストが終わるたびにクラスメイトが減っていくんです! あまりの難しさに打ち砕かれて!」

「そ、そんな大袈裟な……」

「大袈裟じゃないですよ! 調べれば一発で出てくる有名な話です!」

「だ、だって……仲斗が進級できるような学校だぞ? そんな難関テストなわけが……」

「―――だ、か、らあ!」


 ほぐれた表情から一変、般若のごとく険しいものになった二岡は、真信乃に迫った。


「奥富先輩が天才だからだっつってんだろうが! ああっ!?」


 顔も口調も気迫も様変わりした二岡に、真信乃は純粋な恐怖を覚えた。さっきまで大人しく、真面目に訓練に励む少女だったのに―――それほど仲斗を尊敬してるのかと、真信乃は納得せざるを得なかった。


「分かったか!?」

「わ、分かりました……」

「フンッ! 一回で理解しろクソガキ!」

「ははっ! 怒られる真信乃、おもしろ!」

「なっ―――」


 反射的に言い返そうとした真信乃だったが、二岡にぎょろりと睨まれて怯んでしまった。これ以上噛み付くと、逆に彼女に噛み付かれる―――思わぬ刺客にうろたえる真信乃。


「真信乃、よかったなー?」


 そんな彼を、仲斗はにやにや笑って眺めていた。


「友達ができて」

「これが友達に見えるのか?」

「本当の友達っていうのは、間違ったことを正してくれるもんだぞ? 僕を馬鹿だと信じてやまない真信乃を、この二人は根気強く訂正した。素晴らしき友情じゃないか!」

「いやそもそも―――」


 再び鋭い視線が肌に突き刺さり、真信乃は不本意ながらも口をつぐんだ。そして決心する―――もうこいつの訓練なんぞ見てやらん、と。

 授業終わりの鐘が鳴り、僅かな揺れと雑音が校舎の中から聞こえ始める。屋上からも、廊下を生徒が行き来する姿が見えた。


「仲斗、生徒だって言うなら真面目に授業受けろよ。いくらテストが全てだからって、態度が悪すぎるのは良くないだろ」

「えー、めんどくさ。真信乃も一緒に受けようぜ。どうせどこにいたって良いんだろ?」

「オレはあくまで二年一組の生徒だ。他クラスに入り浸るのは許されないんだよ」

「屋上でサボる方が許されないと思うけどなー。あ、じゃあ僕がそっちのクラス行くか! それなら良いよな!」

「良いわけあるか! いい加減にしろ!」


 刹那、視界の端に発光が見えた。全員の視線が同時に、同じ方へ向く。校庭を挟んで奥の東校舎、その二階の一角が光に包まれていた。転生士が宿主を支配したときに発生するそれだ。

 真信乃は即座に仲斗の腕を掴み、彼から〝思い〟を吸い取った。ある程度の量を取るとそれを変換し、屋上から飛び降りた。


「あっ! 真信乃ずるいぞ! 僕の純情を返せ!」

「変なこと言うな!」


 仲斗は常に〝思い〟が強い。おそらく「転生士を記憶処置したい」という歪んだ執念だろうが、こうしてエネルギー源になってくれるからありがたいときもある。これで邪魔さえしてこなければ、心強い仲間なのにな―――真信乃は何度もそう思ったが、夢を見たってしょうがないとその都度自分を叱責してきた。

 東校舎の傍まで駆けつけると、真信乃は勢いよくジャンプした。開け放たれた窓の縁に掴まり、そのまま校内に侵入する。突如現れた彼に生徒達は驚いたが、すぐに視線は一点に戻された。真信乃もそこを確認する。


「動くな! 全員止まれ!」


 真信乃の命令で、廊下にいる生徒がぴたりと静止した。彼が騎士団員であることは、既に全校生徒に周知されている。故に、緊張と安堵が彼らの間に流れていた。


「転生士はお前だな?」


 真信乃は、目の前にへたれこむ男子生徒に拳銃を構えた。彼は両手を挙げ、震えながら頷く。


「そっ……そうだけど! 暴れるつもりはない!」

「じゃあどうして今、宿主を支配した?」

「そんなつもりなかった! 誰かにそうさせられたんだ!」

「誰かに?」

「そうだ! 背中に手が触れたと思ったら、急に引きずり出されたみたいに……」


 やはりそうかと真信乃は納得する一方、嘘を吐いてないかと男子生徒を睨み付けた。彼もすぐにそれを察知し、必死に主張を繰り返す。


「本当なんだって! 俺は宿主と共生することを選んだんだ! そうじゃなきゃ何もないのに急に支配なんかするわけないだろ!」

「………それもそうだな」

「信じてくれるのか!」

「まあ、この学校の現状を聞けばそうなんだと信じるしかないだろ」

「よ、よかった……!」

「だからって……」


 銃口を男子生徒の額につける。


「お前を見逃すわけじゃないからな?」


 真信乃の黄色い瞳が光った。少年は冷静に、冷酷に男子生徒を見下ろしていた。そこに冗談など一切なく、まさに殺す者と殺される者が対峙していた。捉えられたターゲットは、突きつけられた銃口から殺意を感じ取る。

 もう何を言っても見逃してくれないだろう―――そう覚悟したとき、神の……いや、女神の救いが訪れた。


「待ってください! マノセ君!」


 拳銃を奪い取ろうと飛びかかった女子生徒。真信乃は後退して避け、男子生徒を庇う稀歩に銃口を向けた。


「どけ。転生士なんか庇うな」

「どきません! たしかに彼は転生士ですが、害のない方です!」

「そっそうです! 俺は暴れたりしない! そんなつもりない!」

「だとしても関係ない。転生士と分かっていて見逃すなんてあり得ないからな」

「どうしてですか! 騎士団は暴れた転生士を処分するのであって、大人しい転生士を殺す動機なんてどこにもないはずです!」

「転生士である限り、暴れる可能性は十分あるんだよ。どんな拍子で〝思い〟が暴走するか分からないからな」

「それはそうですけど……!」


 人に危害を加える未練があれば、その逆も当然存在する。そういった者達は宿主を支配する執念が弱く、露出することはほとんどなかった。

 しかし、この学校の事件によって彼らも表に引きずり出され、騎士団に殺されている。そのことについて稀歩のように、倫理的疑問を抱く者も少数ながら出現するようになっていた。


「危険性のない転生士はいる。それはもちろん分かっているし、そうなった経緯にも一定の同情はする。けど、そんなの関係ないんだよ。そもそも、未練を残して転生する時点で宿主に迷惑をかけてるからな」

「でも、転生しちゃったものはしょうがないじゃないですか! それだけ人の〝思い〟は強いってことですよ!」


 ―――人の〝思い〟は重い。真信乃が転生士と敵対するたびに思わされている。特に彼は〝思い〟を吸い取ることで、まさにそれを全身で感じ取っていた。

 稀歩もそれを分かっていて、こうして庇っているのか―――そう思うと、彼女の主張を一般論で下すことに少し抵抗を覚えた。


「同情するとか言っていますが、結局殺しているならそれはただの偽善です!」

「………………は?」


 少し話を聞いてやろうかと真信乃が迷った矢先、かちん―――と、彼の怒りにスイッチが入った。眉をひそめ、稀歩を睨みつける。


「オレが偽善だって?」

「そうですよ! マノセ君は偽善者です! 可哀想と言うだけで助けようとしない偽善者!」


 思わず引き金を引こうとした指を寸前で止め、真信乃は拳銃を下ろした。深呼吸をし、興奮しかけた脳を落ち着かせる。冷静になって稀歩を見返した。


「さっきも言ったがな、転生してる時点で転生士は罪人なんだよ。悪だ。そいつを殺して、なんで偽善者になる? 生人ならまだしも、転生士が改心することはほぼあり得ない。存在自体が〝思い〟そのものだからな。それに、助けるってなんだ? 記憶処置をしろってことか?」

「違います! 記憶処置ではその人の未練がなかったことになってしまいます! その人の〝思い〟がなかったことにされるなんて、殺人衝動ならともかく………あってはなりません!」

「じゃあなんだ? 転生士を助ける方法って?」

「未練を晴らしてあげればいいんですよ!」


 周囲がざわついた。未練を晴らしてやろうと活動する者はある程度いるが、世間からは白い目で見られている。真信乃の言うように、そもそも転生した時点で迷惑者。そんな存在を気遣う者など少なく、見返りがあるわけでもない。記憶処置には賛成しても、よほどの事情がない限り、未練晴らしに賛同する者はいなかった。当然、真信乃もその一人である。


「何を言い出すのかと思えば……それなら記憶処置でいいだろうが」

「記憶処置じゃ非道だってさっき言ったじゃないですか! マノセ君、話聞いてました!?」

「聞いた上で言ってるんだ! そこまで転生士にしてやる意味は! 宿主を支配してまで自分の〝思い〟を押し付ける奴に協力する意味は! なんだ!?」

「助けたいと思ったからに決まってるでしょう!」


 どうしてこいつはここまで食い下がるんだ―――真信乃は稀歩の意図が読めず、少しばかりたじろいだ。


「この世の人間は、強い〝思い〟を持っていると未来に転生します! それは誰にも覆せない自然の摂理です! 転生士の出現は絶対に止められません! そのうち、人を傷付けたり不幸に遭わせたりする〝思い〟は止めなければならないし、断罪しなければなりません! ですが!」


 稀歩は真信乃に迫った。緑色の力強い視線が、気迫に圧倒されかけている黄色い瞳を捉える。


「遺した家族に会いたい、思い出の場所に行きたい……そういった〝思い〟が自然の摂理で転生し、不本意に宿主を支配してしまった―――そんな可哀想な転生士を、せめて未練を晴らして成仏させてやりたいと思った! それじゃダメなんですか!?」


 周囲が沈黙する。その場の誰もが、稀歩の〝思い〟に考えさせられていた―――もちろん、真信乃も。

 大前提が違うんだ。「転生すること自体が罪」という一般論ではなく、「生涯どこかで必ず風邪を引くくらい、人が転生するのは当たり前のこと」だと稀歩は主張しているのだ。転生を止めることはできない、宿主になることを止めることができない……それは仕方のないことだと言い、罪になるのはその後の行為だと訴えている。

 そんな風に考えたことがなく、真信乃はうろたえてしまった。もちろん「その後の行為」が人を傷付けるものなら、彼も稀歩の言い分を理解できる。しかし「転生することは悪ではない」との考え方には今まで一度も触れたことがなく、彼の概念に衝撃が走った。


「て……転生することが、そもそも悪……」

「だったら! マノセ君は転生を止められるんですか!? マノセ君は〝思い〟の量を量れると言いましたが、未練を残すほどの膨大な〝思い〟を感じ取って、どうにかできると思うんですか!?」


 できるわけがない。だからこそ彼は思ったのだ―――人の〝思い〟は重い、と。


「マノセ君!」


 答えを迫られた真信乃だが、すぐに言葉が出なかった。これまで悪だと思っていた存在を助けるなど、罪を見逃しているようで許せない。

 その一方で稀歩の言う通り、人がどうこうできない「転生しぜんのせつり」を責めるのではなく、その後の振る舞いでジャッジするべきだとも思い始めていた。それらは、悪事の根源を憎む彼だからこその迷いでもあった。

 ―――産まれ持った造形を非難するほど性悪なことはない。

 ならば、転生したことを責め立てるのも非道だと言うのか?


「マノセ君!」

「あれ? なんか手こずってるみたいだな」


 迷宮入りしかけていた真信乃の思考に、光が差した。その場の全員の視線が一人に集中する。楽しそうに状況を確認する男子生徒―――奥富仲斗に。


「もしかして、僕のことを待っててくれたのか?」

「……そんなわけないだろ」


 判断に迷う傍ら、からかいに何とか反応した真信乃。しかし、仲斗は訝しげに首を傾げた。


「なんだ? さっきまであんなに元気だったのに、何かあったのか?」

「……いや、別に」

「いや別に、で済む表情じゃないなあ。ほら、僕に言ってみ? 友達として助けてやるぞ?」

「お前なんか友達じゃない」


 こいつはどうしてこうも鋭いんだと、真信乃は少し恐怖した。毎日顔を合わせているからか、人間観察が得意なのか―――どちらにせよ、こいつを調子に乗らせてはまずいと釘をさした。


「仲斗、手を出すなよ」

「えー? 転生士だろ? いつもみたいに競おうぜ」

「ここではオレの指示に従え」

「それ、いっつも聞いてるなあ」


 刹那、仲斗が駆け出した。フォールディングナイフを取り出し、一直線に向かう先は稀歩。彼女は一拍遅れて反応し、転生士を庇おうと仲斗に背を向けた。刃先が彼女の背に刺さる―――その寸前、仲斗の体は横へ吹っ飛んだ。勢いよく壁に全身を打ち付ける。

 理由は明白―――真信乃が彼を蹴り飛ばしたからだ。


「いってえー! 真信乃、少しは加減してくれよ!」


 起き上がりざまに文句を吐く仲斗。稀歩の前に立ちはだかった真信乃は、そんな彼を鋭く睨みつけた。


「言うことを聞け。オレはこの学校に常駐する騎士団だぞ」

「だから何だよ。僕は、転生士を殺す手伝いをしてるだけだろ?」

「今、お前は一般市民に危害を加えようとした。現行犯で警察に送ることもできるが?」

「なんだよ、珍しく脅してくるな。もしかして、そいつに惚れたのか?」

「これ以上冗談を言うなら、本当に逮捕するぞ」

「真信乃、本当にどうしたんだ? 転生士を殺さなくていいのか?」


 転生士を見つければ殺害してきた、そんな真信乃の姿を何年も見続けた仲斗は、彼の異常な行動に疑問を抱かざるをえなかった。転生士を……正確には、転生士を庇う稀歩を庇っているのだが、こんな大勢のいる中で転生士を未だ生かしたままなど信じられないし、そんなことをするとも思っていなかった―――それは、真信乃自身も思っていたことである。


「転生士は危険だって、お前も口癖のように言ってるじゃないか。無害と見せかけて寝首をかく奴もいるから容赦しないって」

「それは、そ………そうなんだが……」

「真信乃、もしかして洗脳されてないか?」

「それはあり得ない!」


 感情的に反論した真信乃だったが、その脳内では必死に記憶を辿っていた。可能性は否定できない。現に、洗脳事件は起きている。いま自分が抱く〝思い〟は、本当に自分のものだろうか―――しかし、誰かに触れられた覚えはない。自分が触れたことは何度かあったが、やはり魔法を使われたようなタイミングはなかった。


「うん……やっぱり、洗脳された覚えなんてない。オレは健全で真っ当だ」

「そうは言っても、洗脳された本人は気付かないもんだからなあ。その意識が洗脳されているかどうか、なんて」

「それを言うなら仲斗、お前の方が疑わしいじゃないか。異常なまでにオレに付き纏い、転生士を記憶処置しようとする。誰かの意思が働いてるんじゃないか?」

「失礼だな。僕は転生士を撲滅したいから記憶処置をするんだ。その過程で、真信乃についてったら効率的に転生士に遭遇できることに気付いたからそうしてるだけだ。正真正銘、これは僕の意思だ」


 仲斗は腕を組み、得意げに笑った。むしろ洗脳されていた方が対処しやすかったのにと真信乃は残念がったが、いつもの調子に戻っていることに安堵した。再度、仲斗を睨み付ける。


「とにかく、これ以上邪魔することは許さない。現在、この学校において全ての騎士団権限を持っているのはオレだ。オレの判断でお前を刑務所送りにすることもできるんだぞ」

「それ、職権乱用じゃん。良いのか? 逆に通報するぞ?」

「できるものならやってみろ。言っておくが、仲斗のことは既に騎士団内で周知されてるからな。どうせお前がまた邪魔したんだろってあしらわれるのがオチだぞ」

「チッ……分かったよ。今回は真信乃に譲るよ。次に現れた転生士には容赦しないからな」


 仲斗はナイフをポケットにしまい、つまらなそうに立ち去った。何とか追い返すことができ、真信乃の肩の荷が下りる。


「はあ……何とか追い払えた」

「マノセ君……今の方は?」

「平たく言えば、お前とは相容れない存在だな」


 始業のチャイムが鳴り、生徒達が金縛りから解けていく。各教室へ戻る中、数人は稀歩へ心配そうに近付いた。


「稀歩、大丈夫なの? 転生士の味方なんかして……」

「大丈夫だよ。みんなも見たでしょ? この騎士団員さんは、転生士を守ってくれたんだよ」

「でも……」

「ほら、みんなも早く教室戻らないと。私は少し話してから行くね」

「……何かあったら話してね!」

「うん、ありがとう」


 不安そうな友人達を送り、廊下には真信乃と稀歩、転生士のみが残った。好かれているんだな―――ぼんやりと思いつつ、真信乃は視線を移す。へたれこんだままいた転生士の肩がびくりと跳ね上がった。


「そんなに怖がるな。大丈夫、殺さないから」

「そっ……ソウデスカ! アリガトウゴザイマス!」

「嘘を吐いてたら殺すけど」

「吐いてません! 絶対に吐いてません!」


 転生士が背筋を伸ばして正座する。顔は強ばっており、真信乃が少し動いただけで恐怖に支配されてしまう。先ほどまで殺意を向けていた人間を、そう容易く信じられるわけもない。そんな彼に、稀歩がそっと手を差し伸べた。


「大丈夫ですよ。この人は、言ったことを簡単に曲げたりしない紳士ですから」

「ほ、本当ですか……?」

「です。ね、真信乃先輩?」


 こういう時だけ先輩を求めるな―――言ったところで無意味だと悟り、真信乃は素直に頷いた。


「それで、あなたの未練は何ですか?」


 稀歩が尋ねると、沈黙が流れた。彼女の背後から向けられる真信乃の視線が、より一層鋭くなる。それに怯えながらも、彼は必死に声を絞り出した。


「家に………帰りたいんです」


 復讐したい、快楽殺人をしたい、不幸な目に遭わせたい………そんな未練ばかり見てきた真信乃にとって、その〝思い〟はあまりにも純粋で単純で―――幼稚なように思えた。


「どうして家に帰りたいんですか?」

「仕事のために家族を置いて単身、遠い地に引っ越しました。ですが、作業中の事故で死にまして……」

「それはお気の毒に……」

「はい………息子は身体が弱く、妻も内気なので、二人が気になって気になって……気付けば転生しておりました」


 転生するほどの〝思い〟ならば、本当に家族が心配だったのだろう。もしオレも結婚したら、そんな風に思うようになるのだろうか―――しかし、そもそも結婚する未来が想像できず、真信乃はすぐに考えるのをやめて転生士の話に集中した。


「初めは二人に会いたい……そんな未練でしたが、どうやら俺の死後百年近く経っているようで……妻はもちろん、息子も生きているかどうか分からず、未練は次第に変わっていきました」

「なるほど。せめて、二人の住んでいた家を最後にひと目見たい……そんな感じですか?」

「そうです。あわよくば、息子の子供や孫などもいればいい……なんて思っていたりします」

「そんな都合良くいくか」

「まあいいじゃないですか、マノセ君。希望を抱くのは、物事を進める上で大事なことですよ」


 人生の先輩からのアドバイスですよ、と稀歩は得意げに笑うが、真信乃は軽くあしらった。


「転生士に余計な希望を抱かせるな。現実はそんなに甘くないんだぞ」

「マノセ君、そんなんじゃ人生楽しくないですよ? たとえ厳しい現実でも、無理矢理にでも希望を持つことは大事ですよ!」

「そんな痩せ我慢、やっててもしんどいだけだろ」

「そりゃそうですよ! でも、そうじゃないと生きるのがつらいじゃないですか!」


 妙に熱弁する稀歩に、そういえばこいつは訳ありだったと真信乃は思い出した。何かの〝思い〟で支配されている、そしておそらく闇深い〝思い〟―――こうして明るく振る舞うのも無理してやっていることなんだなと、真信乃は憐れむような目で眺めた。その対象である稀歩は、転生士の手を取って立たせる。


「それで、家族が住んでいたという場所は分かっているんですか?」

「はい。最近ようやく見つかりまして、卓が……あ、俺の宿主が、高校卒業旅行のついでに連れてってくれると言ってくれて……」


 転生士の目に涙が溢れる。


「彼は心優しい少年でした。俺の未練を晴らすために、図書館に入り浸って調べてくれました。バイト代も少しずつ貯めて、旅行資金にするんだって言ってくれて……それなのに……」


 転生士の涙に嘘偽りはない。それを分かっているからこそ、彼に起こった悲劇に真信乃は胸を傷めた―――彼を救ってやろうと気遣った少年はもう、この世にはいないのか。


「どうして卓が……俺達が……! 悪いことは何もしてないのに……!」


 無実の訴えは、真信乃の心に突き刺さった。彼自身、暴れ回る転生士しか手を下したことがなかったが、同僚に殺された無害な転生士のことを思うと、申し訳ない気持ちが少しずつでも浮かんできた。それと同時に、怒りの矛先が「犯人」に向けられた―――彼を支配するよう仕向けた犯人に、である。


「………許せないですよね」


 稀歩がぼそりと呟いた。真信乃が肯定すると、彼女はくるりと振り返り、真信乃を見据える。


「犯人、絶対に捕まえてくださいね」


 真信乃は息を飲んだ。緑色に光る瞳には、明白な殺意がこもっていたからだ。そしてそれは、真信乃の考えを少しだけ改めた。

 ―――羽石稀歩は、事件の犯人を強く憎んでいる。


「もちろんだ」


 真信乃は、期待に応えるように力強く頷いた。

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