第218話 1000年越しの再会
戦後処理と祝勝会みたいなことを言われたけど、まずはマリアさんを王都のグエンさんに逢わせることを優先した。
もふもふ円盤は10月王国に向けて飛ぶ。
マリアを忘れて一区切りつける決心をしたドワーフのグエンはすっかり気の抜けた抜け殻みたいになっていた。
生き甲斐であるドラゴンキラー制作もやめてしまい、通常の仕事も断っているようだ。
グエンは生きる意欲すら無くしていた。
そして来客がある。
グエンがドアを開けるとそこには13歳の少女陽葵?がいた。
「やあ、陽葵さま、お久しぶりですラウンズの具合はいかがですかな?」
「グエン!」
いきなり陽葵?が抱きついて口付けをした。
抱きつかれるのは慣れてきたが、まさか唇への口付けは想定外であった。
「ひっ陽葵さん!いきなり何を!」
陽葵?さんは両手でグエンの両頬をつねって外側にビヨーンと引っ張る。
そして顔を至近距離にまで近づける。
目が二人とも自然に寄り目になった。
「ま、ま、マリアなのか?」
いきなり右頬をビンタが襲った。
「テメェ!気がつくのが遅えんだよ!」
巫女とは思えない言葉使いで叫ぶ。
ドワーフのグエンの両目から滝のように涙が迸る、身体の水分が全部出るんじゃないかと心配になるくらい。
「ただいま、グエン。」
改めてマリアはグエンに口付けをする、それは長い長い口付けであった。
後ろの本物の陽葵は目のやり場に困っていた。
「事情を聞いてもいいかい。?」
「ええ、マスタードラゴンのペットの話を断ったんですけど、もちろんあのマスタードラゴンが許してくれるはずもありません、ペットとして飼われているところなんて貴方に見られたくない、それに私が生きていると知れば貴方はマスタードラゴンのところに死ぬつもりで殴り込みに来るのがわかってましたから、、マスタードラゴンにお願いして死んだことにしてもらったのです、でも生きててよかった、こうしてまた貴方に会えたのですから。」
マリアはまたグエンを抱きしめた。
「そうだったのか、そうだったのか。」
「陽葵さんの装備、あれはあなたの作ったものでしょ、すぐにわかったわ、凄まじい性能でドラゴン族1万匹、根絶やしにしちゃったんだもの。」
「おお!あれが役だったのか、オマエを助けることができたのか。!」
職人としてのグエンが改めて感涙を流した。
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