第217話 平定

 隻眼せきがんのマスタードラゴンの首を吊り下げたもふもふ円盤はマリアを降ろし、改めて浮遊ふゆうを始めた。

 鷹人部隊が周囲を警戒する。


 そしてバンカーヒルの中央に着陸する。


 そしてあさひを先頭に陽葵、フェンリルともふもふラウンズ十二神将が降りてくる。


 あさひはベルゴロド公爵に向かって叫んだ。

 「ベルゴロド公爵!マスタードラゴン様は討伐とうばつされてしまいました、もう勝ち目はありません、投降してください。」


 「オーロラ姫!やはり裏切ったのだな、よくもぬけぬけとここに来たな!親父のモントレーのところに一緒に送ってやる。」


 そう言ってベルゴロド公爵が首を放り投げる、そこに転がったのはモントレー皇帝その人の「みしるし」であった。


 「おい!あいつら全員皆殺しにしろ!」


 オーロラ姫ことあさひ日光菩薩は不思議に涙は流れなかったが沸々と湧く怒りを抑えることはできなかった。


 静かに歩き始め、徐々に歩みを早める。


 宝石箱はロングソードへと変形する。


 狼人部隊30万人が一気に洪水のようにあさひ日光菩薩に襲いかかってきた。


 あさひの純白のドレスが返り血で真っ赤に染まる。

 あさひの周囲数メートルには誰も近づくことすらできず常に空間が維持されている。


 ロングソード飛躍は周囲の兵士をことごとくミンチにしていく。


 「ヒィ!」


 悪鬼あっきのようなオーロラ姫に恐怖したベルゴロドは叫ぶ。


 「何をしている!殺せ!殺せ!」


 亀人部隊も投入されあさひの歩みが遅くなる。


 「あさひちゃんを助けて!あいつらやっつけて!」


「コマンド受諾しました、バトルモードに移行します。」


 そのままでも可愛いらしすぎて何人かキュン死させる能力のあるもふもふ十二神将のキラキラ装備がバトルモードに変形する。


 今度は60万人が相手である。


 12柱がそれぞれ7000枚の式神チャフを散布するとそれぞれがバトルモードの戦闘員となった。

 総勢7万1412柱の大軍勢である。


 ベルゴロド公爵の前にいた兵士はことごとく原型を留めない程に切り刻まれ、焼かれ、凍らされて砕かれた。


 全身血に塗れ修羅の顔をした魔王あさひ日光菩薩がベルゴロド公爵へ迫る。


 「ま、待てオーロラ姫様、話し合おう。」


 魔王あさひ日光菩薩は薄い笑みを浮かべてロングソードでベルゴロド公爵を一刀両断にした。


 そして終わった。


 月光の魔狼フェンリルが叫ぶ。


 「もうそれくらいでやめておけ!我は月光の魔狼である。」


 指揮官を失い、守り神と崇める「月光の魔狼」が一喝したことで狼人は全員武器を捨てひれ伏した。


 亀人トータスマン部隊、蜥蜴人リザードマン部隊も倣ったならった


 こうして世界大戦は終結し、平定されたのである。

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