第216話 戦争という病

 「私から説明いたしますわ。」


 陽葵に続いて円盤えんばんから降りてきた少女を見て周りの誰もが驚愕きょうがくした。


 陽葵と瓜二つの、まるで双子のようにそっくりであったからだ。


 マリアは食事もとり、十分に休養も取れたことから肌艶はだつやも元に戻り、13歳の少女の姿そのものであった。

 それも陽葵そっくりの。


 「申し遅れました、お初にお目にかかります、私は1000年間マスタードラゴンに捕らえられていた氷の巫女マリアと申します、こちらの陽葵薬師如来様に解放していただきました。」


 「こちらの、陽葵さんにですか?」


 「陽葵ちゃんって、ごっつすごい系?」

 陸斗は心の中でつぶやいた。


 ※ごっつすごい系です。


 「あなたがたが陸斗さんと亜希子さんですね。」


 「は、はい、諸星陸斗といいます。」

 「東村亜希子です。」


 「少し左手を見せていただいてよろしいかしら。?」


 「は、はい、どうぞ。」


 陸斗と亜希子は左手の黒い手袋を外し、陽葵そっくりの少女に見せた。


 「陸斗さんの手にはディ・タカンドラ文字で『地』の文字が、亜希子さんには『政』の文字があります、こちらのあさひ日光菩薩様には『文』の文字が、陽葵薬師如来様には『医』と『薬』の両方が揃ってます、あとは『天』と『法』が揃えばヘブンズドラゴン川が枯れてオリハルコンの船が現れると伝えられています、私は1000年以上生きてますがまだ実際にヘブンズドラゴン川が枯れたところは見たことがありませんが。」


 「『法』の賢者様ならいらっしゃいます、諸国を旅されていてなかなかお会いできませんが、王国創立祭に来られたのですよ。」


 「まあ、それでは6つの星が揃ったのですね、『天』の賢者様はいらっしゃらないのかしら。」


 「『天』を司る賢者様はまだ出現されていませんね、ヘブンズドラゴン川が枯れるのはまだ先のようですね。」


 「そ、そうだ、あのドラゴンマスターの死骸は?」


 「それは陽葵薬師如来様ですわ、いにしえの言い伝えにはこうもあります、『七星の星を相兼ねるあいかねる者現れるとき、戦争という病を治癒し、平和が訪れる。』と、それは薬師如来と呼ばれ、日光菩薩、月光菩薩を控え、十二の神将を従えて世を平らげると、陽葵薬師如来様は伝承通り悪逆な隻眼のマスタードラゴン一族を滅してしまわれたのです。」


 周りで聞いていた者たちはあまりのことにヘナヘナと座り込む者、陽葵薬師如来を拝む者、陽葵のうっかりの一言命令でうっかりとドラゴン一族を掃討してしまい大変なことになってしまった。


 「あとは最後の仕上げにこのまま第13帝国に降伏勧告を行い、戦争を根絶することになります、さあ向かいましょう。」


 1000年以上生きている、顔は陽葵にそっくりだが陽葵とはまるで違うマリア氷の巫女はいとも簡単に言ってのけた。



 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る