第203話 landing on the prince again.

 「着信だよ。」


 突然コフェンが反応した。


 「あさひ様からの着信です。」


 陽葵は恋人からの電話のようにコフェンの躯体くたいを引っ掴んで反射的に自分の耳に当てた。

 

 「修正依頼、ご主人さま、これでは通話ができません、正面に浮かべてください。」


 「ごめんごめん、コフェン、いつもの癖で。」


 コフェンを目の前に浮かべると懐かしい声が聞こえてきた。


 「陽葵さま!陽葵さま!やっとお話できました!」


 「私もよ、あさひちゃん!あさひちゃん!ずっと電話待ってたの。」


 「電話?とは良くわかりませんが、やっとワタシもフライングオートマタを手にいれましたの、それでこうやってお話できます!嬉しい。」


 陽葵とあさひはこれまで会えなかった分を埋めるようにこれまでのことを話した。


 「そう、鷹人さんの弟さんは残念なことをしたわね、そうだ、鷹人さんなら里のみんなをまとめてこちらの味方になってくれるかしら、それなら5月王国のソーゴ王子殿下にお願いして鷹人さんを釈放してもらうわ、鷹人軍を説得できたら、お父様のモントレー皇帝とあさひちゃんの処遇をちゃんとガーベラ王子殿下にお願いするわ、あさひちゃん、鷹人さんの里のみんなを説得してくれる?」


 「お任せください、陽葵さま、陽葵様の無理を聞くのがワタシの役目ですから。」


 こうして鷹人軍を寝返らせる策は動き出したのである。


 ****


 陽葵は動いた、そこそこ令嬢の陽葵だが、目標がはっきりすれば行動は早い。


 できたばかりのもふバスに乗り込み、ヘブンズドラゴンリバーを超え、5月王国に向かった。


 ****


 「正体不明の航空戦力、王城に接近します。」


 5月王国王宮は蜘蛛の子を散らしたような騒ぎとなった。


 「陽葵さんの魔獣フェンリルどのではないのか?」


 「そ、それが、見たこともない箱形の未確認飛行物体なのです。」


 「弩弓どきゅう隊、魔法砲撃部隊、迎撃態勢を取れ!」


 ソーゴ王子が陣頭指揮を取る。


 箱形飛翔体はこがたひしょうたいがはっきり見える高度300メートルに近づいた時、いきなり扉が開いて王国創立祭の前夜祭で見た光景が蘇った。(第132話参照)


 中庭にいた王子や兵士たちは、

 扉からキラキラと共に降ってくるこの世のものとも思えない神々しいまでに美しい天使が降臨こうりんする姿を目撃していた。


 それはまるで空の階段を光を振り撒き、踊りながら降りてくるかのような、そんな幻想的な光景だった。


 陽葵が地面にまもなく降り立つ。


 最後のステップで気を抜いた陽葵は足場を失いバランスを崩して。思わず駆け寄ったソーゴ王子の上に着地した。


 情景※お約束通り、ソーゴ王子の顔は陽葵の巨乳に挟まれています。


 「ソ、ソーゴ王子!大丈夫ですか??」


 兵士が駆け寄る。


 「だ、大丈夫だ、賓客の陽葵殿だ、厳戒態勢は解除でよい。」


 「ソーゴ王子!申し訳ございません!緊急事態なのです、鷹人さんの釈放をお願いします。」


 陽葵はどストレートに王子に要請した。

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