第195話 もふもふ×12・ラウンズ

 陽葵は忙しい中、本当に久しぶりに「もふもふ」作りにいそしんでいた。


 しかも今回は1/1実物大じつぶつだい人形の大作たいさくである。


 それも12人


 今回は通常のもふもふだけではなく、もののけ姫のアニメに出てくるような架空かくうのもふもふも取り入れて実にバラエティ豊かな面々、しかしその可愛さたるやキュン死レベルの国宝級こくほうきゅうの作成となった。


 個々のご紹介は順を追って行いますね。🎶

 そ・の・う・ち・に♪


 陽葵の作成速度さくせいそくどと技量が格段に上がっていることでそんなに時間も掛からなかった、とにかく陽葵にとっても久しぶりのもふもふ制作は楽しくて仕方なかった。


 そこそこ財閥令嬢の陽葵にはもともと書類整理や根回しねまわしなどは向いていないし、有能秘書ゆうのうひしょのあさひちゃんが去ってからは本当に苦痛でストレスも溜まる。

 13歳の陽葵には大変だった。


 ニードルフェルトのもふもふ作りは本当にストレスを消してくれる。

 

 一針ごとに気持ちが落ち着き無心になれるからだ。

 可愛いもふもふが完成した時の感動、それはもうとてつもない喜びです。

 

 今回はこれまで作った王子たちとは違う、イケメン人型もふもふのラウンズとりまきに挑戦です。


 これはアガりますよー。


 そうしてこれまでの最高峰さいこうほう72色フルカラー実物大1/1フィギュア(フェンリル毛製)は人間国宝級にんげんこくほうきゅうの陽葵の神技しんぎによって完成した。


 15センチ級でもおそらく一体1000万ディナールの値段がつく陽葵の作品である。

 72色実物大などもう値段がつけようのないプライスレスではあるが、あえて値付けするなら最低でも一体10億ディナールの値段がつくだろう。

 それを12体、いやもはや12柱と言っても良いかもしれない。


 そのくらい神々しいこうごうしいものとなった。


 しかし、陽葵の野望やぼうはそこでは終わらない。


  ベテラン読者の方は覚えておいでだろうか、最初に陽葵にアダマンタイトのニードルをつくってくれた凄腕すごうでドワーフのことを。


 彼の名はグエン・バン・ドエトフリッツ・カールトンという。

 その時の陽葵は知らなかったが、全世界からオーダーが来る凄腕職人すごうでしょくにんである。

 

 陽葵はもぐらホールディングスの財力ざいりょくとレアメタル採掘力さいくつりょくをフル動員どういんしアダマンタイトやミスリル、オリハルコン等の希少素材きしょうそざいを独占、実物大フィギュアのキラキラ装飾そうしょくを彼に依頼したのである。


 グエンはまたとない、自分の最高峰さいこうほうの技術を注ぎ込める、それも費用に糸目をつけないという。


 「気に入った!」


 陽葵の用意した山のような希少素材きしょうそざいの山と豊富な資金。


 それは数百年忘れていたグエンの意欲に火をつけた。


 陽葵の生成した72色フルカラー1/1実物大フィギュア12柱のもふもふはグエンのものに持ち込まれ、贅沢ぜいたくキラキラ装備を装着されることになる。

 おかげで12カ国のフローラル連邦国の連合軍れんごうぐんと第13帝国軍は武器や防具などの素材が欠乏し、戦争準備に深刻な支障が発生して大規模な衝突しょうとつは当面の間無期限延期むきげんえんきとなってしまう。


 もちろんそこそこ財閥令嬢の陽葵にはそんなことは頭にない。

 単に自分の最高峰さいこうほうのもふもふ愛を実現するための私利私欲しりしよくの結果である。


 もぐらホールディングスの内部でも財閥の私物化を批判する声が高まるが、貴族である男爵令嬢陽葵に面と向かって諌めるいさめることのできるものなどいない。

 唯一陽葵を諌めることができる「あさひ」はいないのだ。


 おそらく数千億ディナール、いや1兆ディナールを超えるかもしれない陽葵の道楽どうらくはこうしてエスカレートしていった。

 このもふもふラウンズたちが一体何万人何十万人の人を胸キュン殺むねきゅんさつし、どれくらいの被害者が出るのか見当もつかない。


 「うわー!実物大フィギュアむっちゃ楽しみ〜、」


 度を超えた贅沢ぜいたくなストレス解消をはかる陽葵。


 この傾国けいこくの美少女、暴虐の陽葵ぼうぎゃくのひなの行動は全ての国家の根幹こんかんを揺るがすことになる。


 はたして。


 なお、後ほど明らかになるのだが、陽葵はコフェンのためにも可愛いキラキラ装備をグエンに依頼していた。


 その全貌ぜんぼうが明らかになるのは少し先のことになりそうだ。

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